■ 横浜 M氏宅:タンノイ・オートグラフを聞く (2014.8.20)






オーディオ総合月刊誌『無線と実験』(MJ)に「HiFi追求リスニングルームの夢」という連載があり毎月楽しみにしている。このところは店頭の立ち読みでチェックしているのだが。2014/9月号は、「コンサートの雰囲気の再現…」とのタイトル。間接照明に輝くタンノイ・オートグラフのたたずまいに引き込まれてしまった。記事を読むと、ここに登場するMさんは、年間120回のコンサート・ゴーアーとのこと。同時に真空管アンプを組み立て半田ゴテも握るそうだ。興味がつのる。



幸いにも近隣にお住まいの様子。さっそくご都合に合わせて伺うことにした。部屋に案内されると、さすがに誌面には広角レンズのマジックがありましたね。天井高が2.4メートルほどで、ちょっと低いかなとの印象だった。部屋の設計は石井伸一郎さん(石井オーディオ研究所)に依頼されたとのこと。リスニングルームは、6畳間を2つ連結している。壁面は石井式独特の反射と吸音が交互に繰り返される方式。長辺位置にオートグラフとRHRをそれぞれ対向させて配置している。特性的にはベスト配置とのことだ。






オートグラフ* をメインに聞かせてもらった。ステレオ・ソースは、ショルティ/VPOの《ワルキューレ》の第3幕。これはカルショーの録音したものだが、最近話題のブルーレイにリマスタリングしたもの ――《リング》全曲がディスク1枚に納まってしまうなんて夢のよう。それと、1980年のウィーン国立歌劇場 来日公演の《フィガロの結婚》。ベームが振って、ルチア・ポップがスザンナを歌っているのだ。これは年代の古さを感じないで楽しめる。ワン・ポイント録音とかだが好調。映像はルチア・ポップの魅力満載。眼福であった。

持参したCDを聞く。オートグラフには、さすがに大型システムの優位性があり、低音のスケール感が圧倒的。ゆとりのある、何というか、品性の高い音である。それに、音源の選り好みが激しいかなとの印象もあった。一部CDには、ひどい拒否反応のような響きを感じましたが。
まったく天井の低さは感じられない。スムーズな響きである。スピーカーの長辺配置はどうかなと気になっていたのだが、問題ないようである。ちゃんと、然るべきものは中央に確認できる。ただ目を開けて聞いていると、どうも視覚効果からか、音が左右に広げられ、中央が薄いような錯覚を引き起こす。
あれほどの音量にもかかわらず上下階への音漏れはないとのこと。石井式の効果だろうか、うらやましい。

装置の詳細は、複雑すぎてMJ誌を参照するしかない。CDはCECのベルトドライブ・トランスポートから、AIT研究所のDACとプリアンプを通し、上杉佳郎氏設計のEL34アンプでオートグラフを鳴らしている。別室にはさらにVLZ等々タンノイ・システムが鎮座している。音源にもハイレゾとかが用意されているとか。オーディオへの執念を感じましたね。

 * キャビネット:ヒノオーディオ製  ドライバー:モニターシルバー  ネットワーク:外置Box



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