■ 新旧英国製スピーカーの聴き比べコンサート (2013.1.20)


新旧英国製スピーカーの聴き比べ――タンノイ・オートグラフとB&W、という、めったにない興味深いコンサートに行ってきた。
横須賀芸術劇場 付帯施設(小ホール) ヨコスカ・ベイサイド・スポット 2013.1.19(土)


開演15分前には会場に着いたのだが、聴き比べに絶好と思われる中央スペースはすでにぎっしり。入り込む余地がない。
昨年も開催したとのことだが、これほどの聴衆がつめかけるとは想定できなかった。やむなく、左スピーカーの前面(6メートルほどの距離)に座席を確保。
ステレオ感を味わうにはまったく不十分な位置。一方じっくりスピーカーの個性を聞きとれるかなと。


音楽評論家・諸石幸生さんの丁寧な司会でコンサートは進行した。前半はタンノイ・オートグラフ(進工舎レプリカ)の登場。
駆動するアンプはマランツ♯7と♯9(いずれもレプリカ)。音源は1960年代のカラヤン/ベルリン・フィルの録音が中心。
しめはベームの指揮するブラームスの交響曲。すべてアナログ録音のはず。媒体はSACDとのことだ。

さすがに風格のある響き。ロストロのアルペジオーネ・ソナタなんかチェロの音色が抜群である。シュヴァルツコップの女声もよかった。
硬質感をわずかに感じる。やはりSPに近すぎたようだ。ステレオとしてのスケールは感じられるのだが、ほとんど左SPの独演である。
それに真空管アンプのノイズがかすかに聞こえる。

後半はB&Wの800Diamondの登場。オートグラフとは音離れがまったく違う。
それにオートグラフでは、すべてが特有の音色に塗り込められてしまう印象があったのだが、B&Wは入力に応じて精密に描き分けてくれるようだ。
最新の現代スピーカーと言うべきか。2012年度第50回レコード・アカデミー賞から、金・銀・銅の受賞曲を聞いた。
なかでは、イベールの室内楽だったか、色彩豊かで素晴らしい録音であった。これをオートグラフで聞いたらどうなったのだろうか?、と思った。


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