■ ホーン・システムの夢 (2006.5.21)



オーディオファンならば、ひとつの夢として、いつかはオールホーンでシステムを組み立てたいという願望があるのではないか。あのスピーカーの原点ともいえるホーンの姿に引きつけられるのであろう。

秦野市のEさん宅を訪問した。大型ホーンシステムが存在感を発揮し、リスニングルームに鎮座している。オンケン (音研) の3ウェイ・ホーン群に、低域サポートとしてアルテック (416-8A)をダブル・ウーファー構成で組み合わせたシステム。


チャンネル・アンプ方式である。音声帯域を複数に分割し、それぞれを最適なホーンスピーカがカバーする。そして、それらのスピーカーを独立のアンプで駆動している。帯域分割は4ウェイで、カットオフ周波数は下から、220Hz、1200Hz、8000Hz。スロープは6dB/オクターブとのこと。4チャンネル4ウェイ方式だ。

中低音帯域は、マルチ・セルラーのウッドホーンがカバーしている。デッドニングのために乾燥した砂をかなり詰め込んだとのこと。

アンプはいずれも自作である。回路設計、パーツの選択(真空管、CRとか)等々いろいろと蘊蓄があると聞いた。EQアンプは近作の真空管方式でNFBはかけていない。ラインアンプも真空管。チャンネル・アンプは、トランジスタで4台が重なる。


チャンネル・アンプ方式は、スピーカーの調整に加えて、音質向上のためには、アンプの調整に無数とも言えるパラメータ――分割周波数を何Hzにするかとか、スロープ・位相の問題など――がある。もちろん一番の課題は各帯域のレベル設定。
さらに、ホーン・システムでは、コーン・ウーファーとの低域のつながりが難しいものである。男性ソロの歌声をピタッと中央に等身大で定位させるとか。

本システムは、さすがヴェテランだけにうまくチューニングされている。ほとんど、マルチ・セルラー・ホーンが音質を支配しているようだ。静かな音の印象が強い。このウッド・ホーンが視覚的にも圧倒的である。レコードのサーフェースノイズが耳につかないのも、過渡特性の優秀さを裏づけているようだ。大型システムの豪快さを発揮する場面もある。


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