■ 蓄音機 ――HMV157を聴いてきた (2012.12.1)


神奈川近代文学館の企画した、「蓄音機、SPレコードで聴く――芥川龍之介が愛でた音楽たち」と題する、芥川龍之介生誕120年記念イベント@に行ってきた。
2012.12.1(土) 神奈川近代文学館 展示館2F

芥川龍之介の愛した音楽をSPレコード、蓄音機で味わうというもの。構成・解説は庄司達也先生(東京成徳大学教授)。庄司先生の丁寧な解説があり、好奇心に満ちた芥川龍之介の若き日々をたどることができ、楽しい講座であった。芥川は、音楽・演劇などの当時の最先端の芸術にあらゆるところに顔を出している。「芥川と音楽」は興味深い研究テーマとのことだ。

本日のもう一方の主役は英グラムフォン社製のSP蓄音機 HMV157とHMV104(予備機)。いずれも庄司先生の愛器のようで、機械の説明とか操作のしぐさに、愛情がこもっていますね。SPレコードをHMVの蓄音器でじっくり聴くのは初めての体験だった。初めはレコードの針音が気になるが、次第に中音のしっかりした響きが伝わってくる。さすがに音の良いのは電気録音ではないかと、庄司先生から指摘があった。SPレコードのコンディションによって、かなり針音にも差がでるようだ。本日は鉄針を使用とのこと。

三浦環、柳兼子の両ソプラノは未だ録音になれていないのか精一杯といった感がある。アドルフォ・サルコリは余裕のある歌いぶり。ミッシェル・ピアストロ(Vn)の「ツィゴイネルワイゼン」は録音も良い。達者なテクニックも聞こえ――本日一番の演奏だったか。アンコールの松井須磨子はちょっと期待はずれ。

<プログラム>
@三浦環(Sp):「蝶々夫人」(プッチーニ)から <ニッポノホン5178>
A三浦環(Sp):「蝶々夫人」(プッチーニ)から「ある晴れた日に」<日本Victor4149-A>B柳兼子(Sp):「四つ葉のクローバー」(ロイデル) <ニッポノホン15518-A>
C柳兼子(Sp):「揺籃の傍に」(メンデルスゾーン) <ニッポノホン16467-B>
Dアドルフォ・サルコリ:「リゴレット」(ヴェルディ)から <ニイッポノホン1885>
Eアドルフォ・サルコリ:「蝶々夫人」(プッチーニ)から <ニッポノホン1884>
F梅蘭芳:「三本楊貴妃」 <Parlophone E9001-A/B>
Gミッシェル・ピアストロ(Vn):「ツィゴイネルワイゼン」(サラサーテ) <Brunswick 10267-A/B>
[アンコール]松井須磨子:「カチューシャの歌」

協力:株式会社シェルマン


■HMV157




■HMV104


戻る   Home