■ ハイエンド・オーディオ オーディオ・ノート社 訪問記 (2002.11.13)


← 近藤社長と最新作の2Wayスピーカ「ONGAKU」

ハイエンド・オーディオ・メーカ、オーディオ・ノートを訪問した(11/7)。東急目黒線の不動前駅を降りて、徒歩10分弱の距離。オーディオ・ノートは銀線でおなじみである。さっそく近藤公康社長にサウンド・ポリシーをうかがう。

カートリッジやCDプレーヤで拾いあげた音楽信号は、アンプで増幅されて最終の出口であるスピーカを駆動する。このときアンプは信号を忠実に、かつ少しの歪みも色づけもなしに増幅するのが理想である。特定の信号が脱落したり、余計な雑音が付加されてはならない。このような理想的なアンプの信号伝送の線材として、「銀線」に優るものはないというのが、オーディオ・ノートの永年の主張である。

今や銀線は、オーディオ・ノートのあらゆる製品――アンプに限らずカートリッジ、変換/昇圧トランスさらにはスピーカのボイス・コイルまで――に全面的に採用しているとのこと。

サウンド・ポリシーの基本は、イタリアの指揮者トスカニーニ (1867−1957) の音楽にあると云う。NBC交響楽団を指揮した《新世界》を聞かせてもらった。すでに40年は経っている、もちろんモノラルの録音である。学生時代に繰り返し聞いたレコードであるが、あらためて聞くと、実に豪快で苛烈、これぽっちも曖昧さのない演奏。現代のオーケストラからは決して聞けないサウンドである。残響はまったくない、周波数レンジは狭い、しかしオーケストラの一音一音をクリアに分離する。

最新作のスピーカ「ONGAKU」で、ほかの曲を聞いた。音源はいずれもアナログ・レコード。高音域の分離が良いので、トランペットなどの金管楽器は輝きを増す。中音域は腰が強いというか、芯がある。ハリー・ベラフォンテの艶のある声が、ライブ演奏の熱気とともに再現される。オーケストラは分離よく眼前にパノラミックに展開する。どちらかと言うと横展開。演奏会場の臨場感を求める箱庭派とはポリシーがすれ違う。S席で聞くか、D席で楽しむか、の差かな。

この「ONGAKU」は2Wayシステム。かつてはホーンスピーカにも取り組んだが、いまや2Wayのコーンのスピーカ・システムで充分とのこと。キーワードは、やはり銀線だ。ボイスコイルが一番の課題だったが、銀線の採用が大きな効果を発揮したとのこと。クロスは5kHzで特別なネットワークは使用していない。コンデンサーでカットするだけ。スピーカの特性をコントロールして、不要なネットワークを介在させないようにしている。コンデンサーはもちろん特製。


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