■ 高城システム訪問記 (2001.2.12)

東京目黒の故・高城重躬邸を奥様 淑子様のご招待で訪問することができた。タカジョウ・システムは高城重躬氏の手塩にかけられたままに、まったく変わらない姿であった。堂々と天井を突き抜ける感があるコンクリート・ホーンを始めとして、例の4チャンネル4ウェイのオール・ホーン・システムが健在であった。また高城重躬氏が生涯を通じて愛された、スタインウェイのフル・コンサートがずっしりとした存在感を示している。

奥様がリスニング・ルームの扉を開けたとたん、すぐ前に巨大なスタインウェイがあった。このスタインウェイについては尽きない話がありますね。奥様は"世界一"と表現していました。そして写真で見慣れた光景が目に入る。アンプの積み重なったコンソール、その下は例の糸ドライブのターンテーブルのはず。部屋の周囲は、あらゆる鳴りものがぎっしり。鐘とか、お寺で読経のときつかう「きん」もある。大きなドラが後ろにぶら下がっている。バリ島で手に入れて、成田まで飛行機の中で抱えてきたんです!ソファの後ろには年代物の鉱石ラジオが多数、ウィーンのハンス・カンさんが送ってくれたとのこと。さすがに今はビール瓶は置いてない。かつてはピアノの下にずらっと並べて部屋の響きを調整していた。

さっそくCDをかけて音を聞かせてもらう。雑誌とかで写真ばかりで拝見していたシステムを目の当たりにして興奮してしまった。後で気が付くとどうも音を真面目に聞くことができなかたようである。きちんとした記憶に残っていないのが残念。それでも、アルゲリッチのピアノの澄み切った響き、奥様と一緒に録音されたブラームスの子守歌の臨場感は忘れられない。ピアノで真価を発揮する趣きがある。強い打鍵の時も音が崩れない。また音像がやや視線よりわずか上に展開されるようだが、これは高城システムのポリシーか。

それにしても、奥様は元ソプラノ歌手ということもあり、さすがに声が若々しい。お年とは思いますが、艶があります。ファンの気持ちとしては、これからもこのタカジョウ・システムをこのままの姿で保存して欲しいものです。

◆参考リンク 高城重躬の功績

バカのひとつは人マネです…作り続けて半世紀―そのオーソリティ  高城重躬氏

◆中音ホーンと 額の写真は故・高城重躬氏



◆世界一というスタインウェイをバックに奥様と ◆バリ島から大事に抱えてきたドラ

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