■ ベルギー王立美術館展 《イカロスの墜落》 (2006.10.9)

上野 国立西洋美術館で開かれている、「ベルギー王立美術館展」に行ってきた(2006.10.7)。
ベルギーで活躍した画家たちの絵を集めたもの。選ばれた画家は73名、合計109点だという。
ブリューゲル、ルーベンス、マグリット、デルヴォー……16世紀後半から20世紀をたどる、巨匠たちの400年とある。



 ← 今回の目玉は、ブリューゲルの《イカロスの墜落》

イカロスはギリシャ・ローマ神話の主人公。父が発明した翼で空中を飛んだが、高く飛びすぎて太陽の熱で翼の蝋が溶け、海に落ちて死んでしまった。

この絵は、これまでブリューゲルの代表的作品と考えられてきたが、近年は、?マークが付いているそうだ。構想はブリューゲル自身によるものだが、制作は別人によるものだというのが大勢だとのこと。


爽快な印象を与える絵である。
丘の上から港を見下ろし、いっぱいに青い海が広がる俯瞰的な構図がスケール感を与える。遠く水平線には小さく太陽が見える。港には、帆をはらんだ船が、これから出帆しようとしてのか。そして近くに、墜落して足を必死にばたつかせているイカロスがユーモラスでさえある。画面中央の、馬に鋤を引かせている赤いシャツの農夫が印象的で色彩的にもアクセントになっている。もう一人の羊飼いは空を見上げているようである。

ルーベンスの肖像画も実物を間近にみると、すごい描写力である。衣服のヒダや質感をまさに実物以上にリアルに描き込んである。

「ベルギー王立美術館展」を見おわって、ついでに常設展――いわゆる松方コレクション――も、回って来たのだが。
膨大な収集絵画に圧倒されてしまって疲れた。


……ベルギー王立歌劇場 (通称モネ劇場)では、2002年9月のシーズンから、大野和士が音楽監督で活躍している。


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