■ 『ビル・ゲイツの面接試験』 マンホールの蓋は、なぜ丸い (2004.9.7)



マイクロソフト
は、米学生の就職先ランキングで相変わらず1位とのこと。ちなみに、IBMは4位だ。マイクロソフト社には、毎月1万通をはるかに超える履歴書が届くそうだが、採用にあたって第一の目標は、「ビル互換機 (クローン)」を採用することだろう。ビル・ゲイツと似た知能や強みをもった若い人を求めている。

ソフトウェアなどハイテク産業は古い経済活動とは違う。安定せず、不確実で、変化が速い。そこでは、前提を疑問視する力、新しい視点から見る力が必要だ。パズルやクイズは、その能力をテストするとされる。

マイクロソフトの面接パズルは、汎用的な問題を解く能力を目標とする。創造的問題解決能力、枠にとらわれない思考など。
例えばこんな問題だ。
・秤を使わないでジェット機の重さを量るとしたら、どうしますか
・世界中にピアノの調律師は何人いるでしょう
・コンピュータ制御の電子レンジを設計するとすればどうしますか
・富士山を動かすのに、どれだけ時間がかかるでしょう、等々

おそらくマイクロソフトの問題でいちばん有名なものは、次のやつらしい。
・マンホールの蓋が四角ではなく丸いのはなぜでしょう

著者は、面接パズルは、下手な採用を防ぐためのフィルターであるという。採用戦略としてつぎのような項目を列挙する。
・テクノロジーが急速に変化しているときに、すぐに陳腐になる技能を見て人を採用するのは意味がない。一般的な問題解決能力を見て採用すべき
・採用の判断が悪いために会社が受ける損害は、いい判断から受ける利益を上回る。何よりも、悪い採用を避けること

あの「マンホールの蓋」の問題。面接側が考えている解答は――四角いと蓋が穴に落ちてしまい、人にけがをさせたり、水中に沈んで行方不明になる可能性がある――ということらしい。


◆『ビル・ゲイツの面接試験 富士山をどう動かしますか?』 ウィリアム・プンドストーン著、松浦俊輔訳。青土社、2003/7刊


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