■ 音楽之友社70周年記念 チョン・ミョンフン:トーク&室内楽 (2011.8.1)



音楽之友社創立70周年記念特別企画 指揮者チョン・ミョンフンの「トーク&室内楽」音楽の友ホール(神楽坂) 2011.8.1(月)

たまたま手にした雑誌記事に目がとまり、特別企画に参加することができた。
前半にチョン・ミョンフンのトーク、後半はチョンさんがピアノを担当して室内楽の演奏。

素敵なトーク&演奏会参加の機会を得て関係者に感謝したい。音楽之友社はアジア唯一の音楽専門の出版社とのことだ。


前半のトークは、三村京子さんのたくみな司会に応じて、自ずとチョンさんの人柄が表出するようなものであった。
チョンさんが主宰するアジア・フィルが目指すのは、縦一直線ではなく、右手と左手とが握り合うように融合するアンサンブルが実現する音だと、
なかなか興味深い発言であった。

それにしても司会の三村京子さん、友情の架け橋音楽国際親善協会の理事長とのこと、弁舌さわやか語学堪能で才色兼備とはこの人か。


後半は、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番。眼前にくり広げられる4人の熱演に圧倒され陶然としたひとときであった。
これだけのメンバーが集まったのもチョンさんの力かな。大人の風格がただようチェンさんのヴァイオリン、いつもの須田アクション全開のヴィオラ、
秘めた情熱のソンウォンさんのチェロ。もちろんチョンさんのピアノがしっかりとリーダーシップをとる。

なかでも第3楽章に引き込まれてしまった。濃密かつ秘めた愛がほとばしるようなアンサンブルである。
楽章の冒頭は待ちかねたようなチェロの熱い独奏から始まった。

ヴィオラとチェロが親密な会話をくり広げているところに、ヴァイオリンがそっと密やかにメロディーを紡ぎ合わせるなど
…… やはり、解説に言うクララ・シューマンへの思慕があるのを納得する。ピアノの強い響きがリードして全曲が終わる。


<出演>
  ヴァイオリン:ロバート・チェン(シカゴ響コンサートマスター)
  ヴィオラ:須田祥子(東フィル首席ヴィオラ奏者)
  チェロ:ヤン・ソンウォン(ソリストで活躍)
  ピアノ:チョン・ミョンフン(2011.8.1)


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