■ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》 と 《道化師》 (2004.9.11)

ヴェリズモ・オペラの代表作として、一緒に上演される機会が多いもの。新国立劇場の初日(2004.9.9)に行ってきた。指揮は阪哲朗、ピットのオケは東フィル。

初めの《カヴァレリア》。阪さんの指揮に期待したのであるが、ちょっと阪さんらしくなかったのでは?と思いました。もっとドラマチックに雄弁に振ることもできたと思います。やや一本調子では無かったでしょうか。緊迫感にも欠けました。東フィルのアンサンブルもいまいちです。木管群にも不満がありました。舞台を見て吹いてくれと言いたい。サントゥッツァ役に頑張って欲しかったが、表現の幅が狭く、声の魅力が感じられなかったのが残念。結局、ひたすらに間奏曲を待ったという感じであった。

一方 《道化師》には満足しました。指揮者、オケ共に調子を出したのでしょうか。そもそも、オペラとして構成的にも音楽的にも格段に優れていますね。ネッダとシルヴィオの、愛の場面はかすかにトリスタンの響きがした。調べると、道化師の初演1892年、一方トリスタンは1865年の初演であった。

カニオ役の:ジュゼッペ・ジャコミーニ。ヴェテランでしょうか。さすがに昔日の声の威力はありませんでしたが、スリリングな演技はたいしたもの。聞かせどころのアリア「衣装をつけろ」はさすが。
最終場面で、「喜劇は終わりました」とつぶやくのは、カニオ。手持ちのLD (プレートルの指揮、ドミンゴのカニオ)ではトニオが言っていましたが。凝縮されたドラマを楽しみました。それと、ペッペの吉田浩之さんが一番安定した歌唱だったのではないでしょうか。

<キャスト>
◆《カヴァレリア・ルスティカーナ》 作曲 :ピエトロ・マスカーニ
サントゥッツァ:エリザベッタ・フィオリッロ、ローラ :坂本朱、トゥリッドゥ:アッティラ・キス

◆《道化師》 作曲・台本 :ルッジェーロ・レオンカヴァッロ
カニオ:ジュゼッペ・ジャコミーニ、ネッダ:ジュリエット・ガルスティアン、トニオ:ゲオルグ・ティッヒ、ペッペ:吉田浩之、シルヴィオ :ルドルフ・ローゼン

◆指揮:阪哲朗、演出:グリシャ・アサガロフ
東京フィルハーモニー交響楽団


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