■ 2008年 大野和士がグラインドボーンで振る (2007.1.29)



昭和音楽大学で開かれた、新百合ヶ丘新校舎落成記念特別企画の公開講座に行ってきた。2007.1.28(日)。テーマは、「オペラを劇場運営の現在・イギリス、グラインドボーン音楽祭に学ぶ」。

講座はなかなか興味深いものであったが、グラインドボーンで大野和士が振るとのニュースを確認する意味もあった。

第T部には、グラインドボーン音楽祭から特別講師として、理事長のガス・クリスティさん、総監督のデイヴィッド・ピッカードさんの2人が参加。それぞれ43歳、46歳と若い!グラインドボーン音楽祭は1934年にジョン・クリスティによって創設された。古くからのクラシック音楽ファンにはかつてのブッシュの指揮したオペラ全曲盤が懐かしいものだ。

第U部はパネル・ディスカッションでNHKの長谷川芳弘部長が加わり、モデレーターは音楽評論家の黒田恭一さんであった。講座が開かれたこのホールは新しく完成したもので、客席数も1200人とグラインドボーン音楽祭とほぼ同じ規模である。黒田さんからグラインドボーンの引っ越し公演を、このホールで是非やってくださいとのお願いがあったが。2人の回答は来日に前向きだったのか!?

それに2008年の大野和士のことが気になったのだが。
総監督のピッカードさんによれば、大野の招聘は3年前 2005年に決めたとのこと。ブリュッセルで大野の指揮ぶりを何回も聞くチャンスがあり、いつかは音楽祭に招きたいと思っていたとのことだ。後期のロマン派が適しているとにらんで、《ヘンデルとグレーテル》でイギリスでのオペラ・デビューを果たして欲しいとのことだ。

NHKは何回もグラインドボーン音楽祭の生中継をやっているので、この大野和士のデビュー公演の中継も期待できるはずだ。

◆大野和士の公演スケジュールは →こちら


■ NHKテレビ 「プロフェッショナル 仕事の流儀」に大野和士が登場 (2007.1.25)

NHK総合テレビ 2007.1.25(木) 午後10時から「プロフェッショナル 仕事の流儀」の第39回は「がけっぷちの向こうに喝采がある」。指揮者・大野和士の登場。司会 茂木健一郎。大野和士のピアノを弾いてのオペラ・レクチャーもあった。

オペラ劇場の音楽監督として全責任を負い公演を率いていくのは大変な精神的プレッシャーだ。しかも突発事故が連続して、それの解決に急遽取り組まなければならない。なんとか修羅場を乗り越えるたくましい精神力。おもわずガンバレと声援をおくりたくなる活躍ぶりだ。テレビを見ている側に向けて放射する強いエネルギーがあった。

《トリスタンとイゾルデ》ではイゾルデ役が気管支炎で声が出なくなる。最終リハーサルをどうするか、ピンチヒッターは……。トリスタン役は初役とあって緊張している。緊張を解いて舞台に向かわせないと……。

番組では、いつものモネ劇場の音楽監督の仕事場や、昼飯の様子とか。ベルギーの住処での暮らしぶりを伝える生活感のある映像もあった。ベルギーのモネ劇場での契約も今年の9月までのはず。新しい劇場での常任のポストを期待が大きい。

こちらに番組の様子がまとまっている → こちら


■ NHKテレビに再登場 「プロフェッショナル 仕事の流儀――トークスペシャル Part2――」 2007.3.16(木)

今回も、脳科学者・茂木健一郎との対談。

大野和士は、指揮者は「気」を発しなければと言う。
「100人からのオケを時間差なしに、縦の線を合わせて、運動性をもって導かなければいけない。
無機的なものになってはいけない。いちばん大切なのは、ボディから発散する“気”みたいなものを感じてもらうこと

日本人にはクラシック音楽の伝統がない、このため、イタリア・ドイツなどの音楽に対して等距離で向き合うことができる。
伝統に縛られたしがらみがない、というわけだ。

これから、日本人音楽家のチャンスだという。確かに、大野和士自身の活躍がそれを裏付けている。

辛かった経験も正直に話してくれた。
指揮者とオケの間で、一端歯車が狂うと、それを回復するのは難しい。バイオリズムも取り戻せないままになってしまうこともある。
百人超のオーケストラを前にして、指揮台でまったくの孤独状態で取り残されたままに、コンサートが終わってしまうような経験もあったとのことだ。これは辛い

今回のピアノを前にしてのアリアのレクチャーでは、かすかに《椿姫》が聞こえたかな。
いま話題の森進一の「おふくろさん」が飛び出しましたね。

大野和士の、メット出演のスケジュールが決まったようである。
2007年 9月29日〜11月 8日まで、全9回を振る。
演目は、ヴェルディの歌劇《アイーダ》


NHKの放映の様子がまとまっている →こちら


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