■ ジョリヴェ:《赤道コンチェルト》 〜世界初CD化 (2011.11.10)

このジョリヴェのピアノ協奏曲は、フランス植民地に取材した作品として、フランス国営放送から依頼されて作曲された。
それぞの楽章が、アフリカ、アジア、ポリネシアをイメージしている。初演後のパリの演奏会では、あの《春の祭典》のような大騒ぎを引き起こしたそうだ。
当初、この協奏曲には「赤道」の名が冠せられていたが、アルジェリアやヴェトナムの政治問題ともからみ、現在は外されている。

エネルギッシュなリズムに導かれて、終始、野性的な音楽が鳴り響く痛快な協奏曲だ。
サバンナをこえて、ジャングルをくぐり熱帯雨林を抜ける。木々の高所からは名も知らぬ鳥の声が聞こえる。
後ろには不気味な野獣の声か。現地人が舞いつどっている。どこかおどろおどろしい儀式の様子もある。

第1楽章は力強いピアノの打鍵から。野性的で漸進的なリズムが終始なり響く。まとわりつく管楽器が怪しい雰囲気をかもす。
第2楽章は静寂からスタート。何かが誕生する様子。中間の静かなメロディアスな響きが印象的。
時にキン?が鳴ると仏教的な響きでもある。
第3楽章は圧倒的にピアノが鳴り響く。まさに熱狂的なジャズのアドリブ演奏の感がある。

CD(SICC 1522)のジャケットには、世界初CD化とのクレジットがある。
タワーレコード"Sony Classical"スペシャル・セレクション Vol.5と銘打たれ、
2011.11.9に発売されたばかり。

<収録演奏>
ピアノ演奏はいずれも フィリップ・アントルモン
(1)アンドレ・ジョリヴェ:赤道コンチェルト
アンドレ・ジョリヴェ指揮、パリ音楽院管弦楽団
(2)ダリウス・ミヨー:ピアノ協奏曲 第1番
ダリウス・ミヨー指揮、パリ音楽院管弦楽団
(3)ダリウス・ミヨー・世界の創造(ピアノ五重奏版)
フランス弦楽三重奏団ほか


■ ジョリヴェ:ピアノ協奏曲(赤道コンチェルト) (2011.1.24)

東京都交響楽団の定期演奏会に行ってきた。東京文化会館 2011.1.24(月)



何よりこの演奏会に触手が動いたのは、ジョリヴェのピアノ協奏曲だ。
かつてこの曲をアナログ・レコード*で愛聴していた
  ――真っ赤な太陽をアレンジしたジャケットが印象的だったが、赤道コンチェルトの異名があったはず。
ちょうどCDへの移行期でもあり、
不用意にこのレコードは手放してしまい、その後CDの再発売もなく、残念ながらずっと耳にする機会がなかった。
*Pf:アントルモン、ジョリヴェ指揮パリ音楽院管弦楽団 (CBSソニー)


ジョリベのピアノ協奏曲は、積年のつかえが取れた感があった。
冒頭からアフリカ風のリズムが荒れ狂う。ピアノもオケと一体となって打楽器の活躍が楽しい。
第2楽章ではほんのわずかピアノに抒情的なフレーズもあって小粋。
第3楽章ではカデンツァと思われるピアノが活躍し、協奏曲であることを印象づける。
第1楽章に立ち戻るような、大げさな多彩な響きで締めくくる。
この曲、タワー・レコードあたりに是非再発売して欲しいもの

もう一つのジョリヴェ。室内管弦楽らしい歯切れの良さがもっと欲しかったのだが。
ハープとの対照を目論んでいるのか。

西村朗さんの2曲。ダイナミックレンジの大きなものでした。サクソフォンはいろいろテクニックを披露しているのは分かりました。
私には聞き通すのに忍耐を要したのは事実。

指揮:ヨナタン・シュトックハンマー
サクソフォン:須川展也
ハープ:吉野直子
ピアノ:永野英樹
演奏:東京都交響楽団

<プログラム>
西村朗:サクソフォン協奏曲「魂の内なる存在」
ジョリヴェ:ハープと室内管弦楽のための協奏曲
西村朗:幻影とマントラ
ジョリヴェ:ピアノ協奏曲


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