■ マーラー 《交響曲第4番》 チョン・ミョンフンのメルヘン (2005.3.13)



  東フィル定期 2005.3.11(金) サントリーホール
  シューマン:ピアノ協奏曲   ピアノ:ラルス・フォークト
  マーラー:交響曲第4番  ソプラノ:森 麻季
  指揮:チョン・ミョンフン

いつもながら、野本由起夫さんの分かりやすい図の入った解説に啓発されました。マーラーの交響曲第3番と第4番は姉妹関係にあること。第3番は最後に書いた第1楽章が巨大化しすぎたため、第3番の終楽章として構想した「天上の生活」を第4交響曲の終楽章ににまわしたそうだ。チョンさんの選曲もこの脈絡を強く意識して、前回の第3番に引き続いて今回の第4番を取り上げたのだろうと。

コンサートマスターの前にもう1台ヴァイオリンが用意されているのは気が付きませんでした。なぜ椅子らしきものがあるのかなとは思っていたのですが。第2楽章で、死神を表すためにマーラーは独奏ヴァイオリンに仕掛けをしたそうだ。1音高く調弦し不気味で薄気味悪い効果を引き出した。また、トロンボーンもチューバも編成に入っていないとか。コントラバスが10本、フルート4本の編成でしたが。

先夜の札幌で聴いたシュターツカペレ ――マーラーの交響曲第7番―― が、どうもまだまだ耳に残っていて、なかなか集中して聴くことができませんでした。東フィルの演奏を、なにか精密なプラモデルを眼前にするような感覚で聞きました。弦楽器のきめの細かさがやたらと目立ちました。コンサートマスターに荒井英治さんが座った時に、東フィルが一番落ち着いた響きを出すのではないでしょうか。

チョンの指揮ぶりは、いつものクールタッチからは、ちょっと距離を置いていた感じでした。特に第1楽章なんか、ゆったりとメルヘン調を意識していたのでしょうか。第3楽章は十分に抒情的で満足しました。第4楽章、独奏ソプラノの森麻季さん。ちょっと声が通らないなと感じたのですが素敵でした。オペラグラスを忘れたが残念。


会場で大賀典雄さんをお見かけしました。今この時期、「ソニーを応援していますよ」と声をかけたかったのですが、タイミングを逸しました。


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