■ 大野和士指揮:チャイコフスキー 《マンフレッド交響曲》 (2010.6.3)




東京都交響楽団の定期演奏会に行ってきた。
2010.5.20(木)サントリーホール

大野和士が都響を振るのは1年ぶりではなかったか。
ほんの数日前にはニューヨークでメトロポリタンのピットで振っていたはずである。

バラエティに富む素敵な演奏を存分に楽しめた一夜であった。
大野の指揮は一段と洗練されたものに感じた。

当夜の演奏プログラムは、なかなか考えられたものであるようだ。
マンフレッドを主人公とする管弦楽曲を前後に置き、細川俊夫の協奏曲――打楽器とオーケストラ、をはさむというスタイル。
いずれも一貫するテーマは「魂の彷徨」ということらしい。

最初はシューマンの《マンフレッド》序曲。渋くやや暗い、シューマン独特のオケの響き。次の細川俊夫の、いわば打楽器協奏曲は、まったく違った音楽スタイル。
一人の奏者(中村功)を取りまくように十数個?の打楽器――大太鼓、小太鼓、ティンパニなど。とにかく打楽器のオンパレード。七夕の短冊を思わせる風鈴?を口で吹いて演奏していたが、これは初見参。風が吹き通る感じ。静寂と緊張のコントラスト……。最後は旅に出るというイメージかな

最後はチャイコフスキーの《マンフレッド交響曲》。
なかなか聞く機会のない曲だ。確かトスカニーニ/NBCの録音があったと思うが。
つい最近FMで大野和士の指揮を聞いたばかり こちら

カラフルに描き分けられた人間絵巻を間近に見るような演奏。オケの響きが鮮明である。いかにもチャイコフスキーらしいメロディーが繰り返される。
最終第4楽章にはオルガンも登場し豪壮に鳴り響いた。
これはもっと演奏されてもよい曲だろう。


<プログラム>
・シューマン:《マンフレッド》序曲
・細川俊夫:打楽器とオーケストラのための協奏曲《旅人》
・チャイコフスキー:《マンフレッド交響曲》


■ 大野和士指揮:ルクセンブルク・フィルハーモニー

2010.2.9(火)、NHK-FMで「ベストクラシック―海外で活躍する日本人音楽家たち―(2)〜大野和士〜」が放送された。
大野和士がルクセンブルク・フィルハーモニーを指揮した演奏会の録音(2008.12.4)。

ルクセンブルク・フィルとは初耳だが、かなりレベルの高いオケではないだろうか。
とくに金管群などはすばらしい演奏だ。弦のアンサンブルなどわずかに乱れを感じたが。

《マンフレッド》はなかなか聞く機会がない。50分を超える大曲である。
大野の指揮ぶりは遠近感を感じさせるスケールの大きな演奏であった。
冒頭の繊細な響きからリズムが動き出す。ホルンが残響豊かになり響くのが魅力的だ。

途中いかにもチャイコフスキーらしい華麗なメロディーが活躍する。
聞き進むにつれてどこかベルリーズを思わせる雰囲気になってくる。
豪壮なフィナーレで幕となる。


<曲目>
(1)ショスタコーヴィチ:バレエ組曲 第1番
(2)サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番
チェロ:ダニエル・ミュラー・ショット
アンコール〜ラヴェル:ハバネラ
(3)チャイコフスキー:交響曲《マンフレッド》
・アルプスの山中をさまようマンフレッド
・アルプスの山の霊
・アルプスの山人たちの素朴でのどかな生活


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