■ ヤナーチェックのオペラ 《利口な女狐の物語》 (2006.9.25)




ヤナーチェックのオペラ 《利口な女狐の物語》のレーザー・ディスクLD(発売:ニホンモニター、販売:日本クラウン)を手に入れた。吉田秀和の『私の好きな曲』(新潮社1977)で、紹介されて以来、いつか実演に接したいと思っていた――この11月には日生劇場で公演があるようだが。《イェヌーファ》は既に幾つか手に入れているのだが、このLDもなかなかのレア物だった。


LDは東独のテレビ局が制作したテレビ放映用画像を元にしたとのこと。
コーミシェ・オーパーでのベルリン初演は成功した(1956年)。その9年後(1965年)、東独のテレビ放送局がテレビ放映用に映画化した。35ミリフィルムで収録したと記録にあるが、LD制作者が入手した原版は2インチ/PALのビデオ・テープだったそうだ。

演出はヴァルター・フェルゼンシュタイン。ヴァーツラフ・ノイマン指揮のコーミシェ・オーパー管弦楽団&合唱団。女狐:イルムガルト・アルノルト(S)、森番:ルドルフ・アスムス(Br)ほか。ドイツ語上演版。

LDを視聴すると、TVスタジオにセットを組んで収録したものだろうとわかる。
TV用なので、どうしても画角が狭くアップが多い。モノクロであり、画質はあまり良くない。時にピントがずれて、ノイズが一部にある。音質はモノラルであるが、十分である。

このオペラのテーマは、まさに「自然と人間」それに「輪廻」だろう。冒頭から、トンボ・チョウ・カエル・狐・クマが飛び回る……。最終幕の森番のアリアでは、自然賛歌が大らかに歌われる。音楽は、まさにヤナーチェクそのものだと感じる。透明な弦の響きと、表現力の高い金管が重なる。ときに金管のファンファーレ的な吹奏が効果的である。

女狐のイルムガルト・アルノルトは、得意役とのことで魅力的。エロティックでもある。
テリンカと狐を重ねているようだが、演出の意図はよくわからない。ノイマンの指揮はメリハリがあり、オケも素晴らしい。

なかなか楽しんだLDでした。カラー収録であれば、このメルヘンチックな雰囲気が倍増されただろう。


◆ 《イェヌーファ》は → こちら
◆ヤナーチェクに 詳しいサイトはこちら → 「日本ヤナーチェク友の会」のホームページ


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