■ モーツァルト《交響曲 第40番》 大野和士と西本智美 (2004.2.6)

偶然の機会ではあるが、モーツァルトの交響曲第40番の演奏を続けて聞くことになった。一つは大野和士の指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団、もうひとつは西本智実の指揮する東京フィルハーモニー交響楽団。それぞれ、サントリーホールと文京シビックホールである。サントリーはオーケストラ裏側のP席、シビックホールは2階席の後方と、座席のコンディションにはかなりの差があった。

◆2004年1月29日(木) サントリーホール、新日本フィルハーモニー交響楽団 第365回定期演奏会
モーツァルト:交響曲第40番。ほかに、川島素晴:室内管弦楽のためのエチュード、モーツァルト:交響曲第41番。

大野和士がベルギーのモネ劇場から戻って、久しぶりの日本での演奏会。ほぼ満席の盛況。オケの配置は対抗配置というのでしょうか、第1Vnと第2Vnが向かい会うスタイル。P席からはオーケストラのバランスは分からないが、響きに透明感がある。全体の構成を指向した演奏と感じました。いわゆる「悲哀」というものは少しも感じない。ただ、この人口に膾炙した名曲を前にして、大野の伝えたかったメッセージは何だったのだろうかと考えた。透明な飲料水の印象が強い。

◆2004年2月5日(木) 文京シビックホール、文教福祉チャリティコンサート 東京フィルハーモニー交響楽団特別演奏会。モーツァルト:交響曲第40番。ほかに、ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第5番、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチョーソ。

いま話題の西本智実が指揮。冒頭からリズミックで切れ味が良い。テンポは中庸。この曲では指揮棒は使わない。特に第2楽章では、女性らしい(こういう言い方はあまり好みませんが)優しさが、指揮棒を振らずに手で柔軟に表現するのが効果的でした。第3楽章メヌエットはきりりと。第4楽章は後半ちょっと崩れたでしょうか。雰囲気を大切にした演奏でした。

文京シビックホール(大ホール)は、初めて出向いた会場でした。巨大な空間でほとんど直接音のみ。非常口とデジタル時計の明かりが演奏中も点いたままなのは気になる。


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