■ 大野和士・読響 《アルプス交響曲》  (2013.1.9)




読売日響第556回サントリーホール名曲シリーズに行ってきた。サントリーホール 2013.1.9(水)
大野和士が読響を指揮するのは22年ぶりとのことだ。ピアノ独奏の小山実稚恵とは芸大時代からの仲間らしい。


最初のラフマニノフのピアノ協奏曲。ピアノの蓋が客席に向かって開かれているので、残念ながらピアノがまったく通らない。こちらの席(RA席のどん詰まり隣がP席)には音が飛んで来ない。でも小山実稚恵さんのスケールの大きな豪快な演奏は伝わってきた。

《アルプス交響曲》は大変な編成である。舞台いっぱいに広がったオケの様子がよくわかる。見慣れない楽器もいろいろ。ウィンドマシンとか。あの一反木綿オバケのような、ブリキ板のつるしに見える楽器は何というのか。演奏ぶりを目にするのも初めてだったが、両端を手でつかんでゆさぶっていた。舞台裏のバンダも本格的。ホルン12とあった。もちろんオルガンも加わる。ティンパニは2セットだ。

冒頭、日の出からすごい演奏。オケが存分に鳴り響く。ホルン8本の総奏が印象的。舞台裏のバンダもスケール感を増す。途中、のどかな森の風景を経て――カウベルとかタムタムが聞こえる。木管の鋭い響きは鳥の声。そして雷鳴の一大シーンに至る。ウィンドマシンも大活躍。回すのも力が入って大変そう。オルガンも鳴り響く。ついに静かな終曲、日没へと。

読響の実力発揮でした。もう《アルプス交響曲》には存分に満足しました。コンサートマスターは鈴木理恵子さん。リーダーシップのある弾きぶり。隣には先日大晦日に弦楽四重奏曲の演奏に接した小森谷巧さんが座っていた。頻出するソロ独奏(Vnとか木管など)では大野は濃い味付けを求めていたようである。ホルン群はいやでも目に入ったのであるが、半数はワーグナーチューバの持ち替えであった。演奏途中何回か持ち替えていたが、座席位置の関係か作曲者の意図するニュアンスの違いが聞こえなかった。

以前この曲を聞いたのは東京文化会館だったはず。オケの強奏ではホールが飽和するような感じを受けた。→こちら
さすがにサントリーホールでは、余裕を持っての響きであった。

<プログラム>
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番
R.シュトラウス:《アルプス交響曲》

<出演>
指揮:大野和士、ピアノ:小山実稚恵、管弦楽:読売日本交響楽団



戻る