■ 大野和士:水戸室内管弦楽団定期演奏会 (2013.1.14)





大野和士が初登場とのことで、水戸芸術館まで足を伸ばした。
水戸室内管弦楽団 第86回定期演奏会 2013.1.14(月・祝)

水戸往復には高速バスの利用を計画したのだが。東京駅八重洲口を10時前に出発し往きは順調だった。演奏会が終わり雪のなかを水戸駅に急いだが、積雪のため高速道路は通行禁止とのことでバスはストップ。JR常磐線も上野までは行き着かないようである。運行再開も見通しがつかないとのことで、やむなく当地での宿泊を強いられた。

水戸芸術館は初めての訪問である。ホールは落ち着いた木の香りの雰囲気がある。大理石の柱が立っている。座席数は620〜680席とのことだ。館長の吉田秀和さんが2012年の5月に亡くなられたのは残念。


さて、大野和士と水戸室内管弦楽団の登場。最初のドヴォルザークの弦楽セレナード。冒頭の弦の響きの柔らかさに魅了されました。さすがです。大野和士の指揮もオケの自主性に任せる一方、後半ではアクセントを付けたようです。

ブリテンの《ノクターン》。ソロ楽器と独唱がからむ静謐な音楽でした。テーマは「夜」なのか。ファゴット、ホルン、フルート、クラリネットそれにハープとか多彩な楽器が登場。奏者はいずれも芸達者。ホールにたっぷりとテノールの声が響いた。それにしても歌詞の英語がひと言も分からなかったのはショック。曲目も《セレナード》とばっかり思い込んでいたとは。もっと予習しておけばよかったなと。

シューベルトの第6交響曲。大野和士の指揮と水戸室内管弦楽団の演奏を含めて素晴らしい演奏だったと思います。キビキビとした演奏とともに、全曲を統合する意志があった。青年シューベルトの若々しい音楽のなかに、ベートーヴェンの影が見えましたが、新しい交響曲を創作しようとするシューベルトの意欲が伝わってきました。単に青年時代の習作とは決めつけられないですね。

第1楽章には、ベートーヴェンの影響が素人にもはっきりと聞きとれました――第1交響曲かな。第2楽章は、のんびりとゆったりした音楽。前楽章とひどく対照的。第3楽章では、ここにもベートーヴェンが――こんどは第7交響曲を思わせる響きが、そこここにありました。いかにもスケルツォの響き。第4楽章は、とても交響曲の終結とは思えない優しいメロディで始まる。このメロディが終始繰り返されるのだが。大野は最後に雄大感をもってまとめた。
指揮者大野和士SMARTサイト→こちら

<出演>
水戸室内管弦楽団
大野和士(指揮)、西村悟(テノール)

<プログラム>
ドヴォルザーク:弦楽セレナード
ブリテン:《ノクターン》テノール独唱:西村悟
シューベルト:交響曲 第6番
(アンコール) フォーレ:《子守歌》



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