■ 大野和士 新日本フィル ブルックナー:交響曲第7番 (2013.7.6)




新日本フィルの第511回定期演奏会に行ってきた。
<ワーグナー賛> 大野和士&ブルックーのコラボレーション、と銘打ったもの。
すみだトリフォニーホール 2013.7.6(土)



プログラムの前半は、シャリーノとツィンマーマン。珍しい曲が並んだ。
シャリーノは日本初演とのこと。10分足らずの静かな曲。チラシにあった大野の言葉によれば、「夜の秘密の世界を描いた作品で、ブルックーの静謐な世界との共通性がある」とのことだが。
ツィンマーマンは管楽器を中心とする華々しいもの。途中で沈没してしまったが、「ワルキューレの騎行」で目が覚めました。

大野和士の指揮で、今までブルックナーを聞いた記憶はないのだが。どのような具合なのか興味津々で臨んだ。ブルックナーの第7交響曲。第2楽章がワーグナーの死を悼んで書かれたことはよく知られている。ワーグナー生誕200年記念につながる。

大野の指揮は、あくまでも明晰かつクリアな音楽を目指しているなと感じた。弦楽器を基本に、金管群を積み上げる。音色には清浄感を感じる。冒頭の"ブルックナー開始"も、よくコントロールされ、圧倒的な金管群の盛り上がりを引き出す。ワーグナーチューバの音色が混じる。
第2楽章も、コントロールされたもの。耽溺するような素振りは微塵もない。シンバルが思い切り鳴り響くのはノーヴァク版の特徴なのか。豪快な、第3楽章のスケルツォからフィナーレの第4楽章へ。

金管群が鳴り響く総奏でやや濁りを感じたのは3F席のせいもあったのか。ブルックナーの実演に期待するホールを満たすような圧倒的な重量感が欲しかった。

(追記) 演奏者名簿を見ると、チェロのトップに上村祥平さんがいる。何回かチェロの独奏会にうかがったことがあるが、新日本フィルに加わることになったのか。


<プログラム>
シャリーノ:《夜の肖像》(日本初演)
ツィンマーマン:《ユピュ王の晩餐のための音楽》
ブルックナー:交響曲第7番(ノーヴァク版)

指揮:大野和士
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団



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