■ 大野和士:リヨン歌劇場来日公演 《ホフマン物語》


オーチャードホール 2014.7.9(水)

昨年末に新国立劇場で同じ《ホフマン物語》を観たばかりである。否応なく両公演を比較せざるを得ない。→新国立のホフマン
もっとも大きな違いは、やはり今回の公演はオランピア・アントニア・ジュリエッタという一連のヒロインを一人の歌手が演じていること。新国版もDVDでの他の劇場の公演も、それぞれ個性的な歌手が歌っていた。終幕には、これらオランピアほかは、結局、歌手のスッテラのイメージであると明らかにされるのだから、論理的には、一人が演じることでつじつまが合うのかな。




幕構成も、本日はオランピア→アントニア→ジュリエッタと並んだが。新国版の終幕はアントニアである。このあたりは演出の裁量に任されているようだ。個人的にはジュリエッタの最終幕が盛り上がるような感じである。

それにしても、改めて思い出してみると、新国立の公演も、演出にもひとつの主張を感じる意欲的なものであった。オランピア・アントニア・ジュリエッタは、幸田浩子・浜田理恵・横山恵子が受け持ったがそれぞれコケティッシュな魅力もありました。


本日の大野和士率いるフランス国立リヨン歌劇場の公演。やはり歌劇場公演らしく、オーケストラの柔軟性に溢れたもの。艶のある弦の響きが格別でした。表現力が圧倒的です。これらを自在に引き出した指揮者・大野の力量に改めて感心しました。

演出は話題のロラン・ペリー。エスプリを感じましたね。でも第2幕のオランピアは大変。クレーンで空中高く飛び上がるシーンなど恐怖感もあったのでは。第3幕ででは、わずかに「ロメオとジュリエット」を思い起こさせるようなシーンがあったな。第4幕はゴンドラなんて登場しない、簡素シンプルなもの。いずれの場面でも、縦幕が開閉するシーンが数多くありました。もちろん場面転換での必要性もあったでしょうが、心理的な空間とマッチするように縦幕がうまく活用されたなと感じました。

カーテンコールには大野和士がコスプレを披露。あれは、オッフェンバックだったのか!?


<出演>
ホフマン:ジョン・オズボーン
オランピア他:パトリツィア・チョーフィ
リンドルフ他:ロラン・アルバロ
ミューズ/ニクラウス:ミシェル・ロジエ

演出:ローラン・ペリー
指揮:大野和士
リヨン歌劇場管弦楽団、リヨン歌劇場合唱団


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