■ 大野和士 都響:作曲家の肖像シリーズ <シベリウス> 2014.12.13 (土)




東京芸術劇場に足を運ぶのも久しぶり。巨大なホール空間に圧倒される。パイプ・オルガンを隠すように、大きな音響反射板が設置されている。ちらりとメカニズムらしきものが見えるが、パイプ・オルガン演奏時には格納されるよう。いつか、パイプ・オルガンにカメラを向けたら、係の女性に「ここは撮影禁止です」と怒られたが、あれはどういう意味だったのだろう。肖像権とか?

先日の定期演奏会に比べて、観客の入りも良く、ほぼ満席の様子。やはりシベリウスの方が吸引力があるのか。






最初の《レンミンカイネンの帰郷》。東京文化会館に比べて、ホールの響きに余裕がある。都響の演奏もみずみずしく聞こえる。大野の指揮ぶりも颯爽としたものだ。
次のヴァイオリン協奏曲。ソリストは三浦文彰さん。初見参であったが、注目の若手なのかな。ちょっと線の細さを感じたのだが。

交響曲第5番。これは大野の実力がストレートに発揮された。まさに精密機械のようにオケを統率した演奏であった。北欧のフィヨルドの朝霧が徐々に晴れ上がっていく様が眼前に活写された。ホルンの響きに木管群がからむのも印象的。弦のトレモロが続く。リラックス感にあふれた第2楽章も良い。終楽章もホルンをはじめ金管が活躍。大野は歯切れ良く締めくくった。

大野和士は来年4月から都響の音楽監督とのこと。かつての東フィル時代に、オペラ・コンチェルタンテなどで、プロデュース力を発揮していたのを思い出す。個人的には、いま都響は国内オケでは実力第一と思っているので、オペラにも顔を向かせて欲しい。

<プログラム> (いずれもシベリウス作曲)
レンミンカイネンの帰郷
ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:三浦文彰)
交響曲 第5番

指揮:大野和士
管弦楽:東京都交響楽団


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