■ 都響 定期演奏会(第972回 Bシリーズ) 2023-4-13(木) サントリーホール

大野和士が都響の音楽監督になってこの4月で9年目に入るとのこと。
本日は2023シーズンの幕開きコンサートでマーラーの交響曲第7番が演奏された。
この第7番は、2015年の音楽監督就任記念公演でも演奏されましたね。私も行きました。

この第7番では終わりの第5楽章でいつも打ちのめされる。あらゆる打楽器 ――シンバル、トライアングル、タムタム、グロッケンシュピール、カウベル、等々―― が鳴り響く。
P席なので眼前で奏者が活躍する。それに渾身のオケが加わり天地鳴動のフィナーレである。なぜ《夜の歌》の幕切れが、こんなドンチャン騒ぎになるのか?

大野和士は全体の構成をどう考えているのだろう。それぞれの楽章の性格付けはしっかりと演じ分けられる。
さすが都響の優れた演奏/アンサンブル技術が確認できる。ギターとマンドリンの登場はロマンティックな味付けであろう。
夜と昼の対峙、そして統合として終楽章が登場するのか。冴えた大野の指揮である。

いつになくじっくりと聞き込んだコンサートであった、大野-都響のコンビの9年間の製菓なのであろうか。
これからの演奏会が楽しみ。来年は新国立で《トリスタン》を振るようですね

◆マーラー:交響曲第7番 ホ短調
第1楽章 遅く〜アレグロ・リゾルート、マ・ノン・トロッポ
第2楽章 夜曲/アレグロ・モデラート
第3楽章 スケルツォ/影のように
第4楽章 夜曲/アンダンテ・アモローゾ
第5楽章 ロンド・フィナーレ/アレグロ・オルディナリオ

◆指揮:大野和士
◆コンサートマスター:山本友重



■ 大野和士 音楽監督就任記念公演2 マーラー (2015.4.8)

第787回 定期演奏会Aシリーズ
2015.4.8(水) 東京文化会館

宇都宮方面では雪が降ったとか。冬が戻ったような一日。冷たい雨の中を東京文化会館に向かった。入口から人が溢れ出て、すでに熱気ムンムン。会場も満席であった。

本日の演目は、マーラーの交響曲第7番。
大野和士のプレトークを聞くことができた。この長い交響曲の全貌を簡明に語ってくれた。前回のシュニトケの「混乱音楽」が、本日の第4楽章に集大成されるとのことだ――そうだったのか!!それにしても、マーラーがアルマの不倫現場に遭遇したというのはマジな話かな?

この第7番。たしか数年前にスカラ座のオケでこの交響曲の指揮経験があったような記憶があるのだが。都響の演奏では既にインバルの指揮を聞いている。インバルではクールな印象があった。比べると大野の演奏は、ウォームな響きが感じられる。繊細にコントロールされている。第1楽章の導入部からそれを感じる。闇を象徴するような輻輳するオケの響き。

この第1楽章がもっとも性格的、この交響曲全体を象徴しているなと感じた。マーラーも力をいれて作曲したのではないか。
第2、4楽章では大野の特質がよく表れたのでは。リズミックな部分もよく響く。
第4楽章にはギター、マンドリンが登場する。いい雰囲気だ。

さすがに、都響の演奏ではとくに弦楽器の透明感が魅力的。大活躍のホルンも好調、場外のホルンも遠近感を醸す。金管のアンサンブルにちょっと不安を感じたのですが、すぐに復帰したよう。

第5楽章はティンパニの強烈な連打から始まる。勇壮な曲想。フィナーレは盛大に大きく鳴り響く。カウベルも連打される。たしかに「混乱音楽」かも。明るい未来に通じるような、大きな盛り上がりの終結。会場も大きくわいた。

終演後、すでにオケのメンバーが退席したあと、大野が舞台に出てきて熱狂のファンの拍手に応えていた。


<プログラム>
マーラー:交響曲第7番《夜の歌》
指揮:大野和士
東京都交響楽団


■演奏の様子がYouTubeにある ⇒ こちら


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