■ 大野和士 サントリー音楽賞受賞記念コンサート マーラー:《復活》 (2011.8.29)





サントリー芸術財団の主宰するサマーフェスティバル2011
「第41回サントリー音楽賞受賞記念コンサート<大野和士>」に出向いた。
2011.8.29(月) サントリーホール




1時間を超える大曲で大野和士の指揮に接するのは久しぶり。
先日、京都市響への客演でマーラー:第3交響曲の演奏があったが、残念ながら聞きのがした。

舞台上に合唱団がずらりと並ぶと一段と期待が高まる。
しっかりした構成力に裏付けられた、感動的な演奏であった。大野の目指した、大震災からの復興への祈りは伝わってきた。
この《復活》は、大野の強い意向で、当初予定から曲目を変えたとのことだ。

第1楽章冒頭から、ちょっとゴリゴリ感のあるコントラバス群の響きも、悲愴感よりも、どこかゆったりした雰囲気。
指揮ぶりにも柔軟性が加わったようである。

マーラー独特の対比的な響きが立体的に構成されるのが、はっきりと分かる。いつになく随所にテンポの動きがあったのではないか。
静かなテンポに落ち着くと一段と聴衆の緊張感が高まった。第2楽章がピッタリの雰囲気。抒情的だが感動的だ。

最終の第5楽章コーダの盛り上がりもすごかった。それまで座っての歌唱であった合唱団を、ここからは立って歌わせた。
オルガンも加わり大音響。舞台照明も一段と輝度を上げたようである。
フィナーレへ向けて次第次第に情熱が高まりオーケストラの響きが一段と広がりを増していく様。
この辺りの大野の指揮ぶりは実に見事であった。

ほかにも細かい演出の工夫があったようだ。
バンダが演奏するときには、舞台後方の左右の扉が開放されるとか。


このサントリー音楽賞は2009年の大野和士の活躍に対して贈られたもの。
・仏リヨン歌劇場での公演活動:プロコフィエフ《賭博師》、ベルク《ルル》
・京都市交響楽団、九州交響楽団への客演
・リヨン歌劇場 来日公演《ウェルテル》ほかに医療施設訪問とかこどものためのワークショップもあった。


当夜は皇太子殿下の列席があった。


◆<プログラム>
マーラー:交響曲第2番《復活》
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団。
指揮:大野和士
ソプラノ:並河寿美、アルト:坂本朱
合唱:国立音楽大学、東京オペラシンガーズ



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