■ バロック・オペラの醍醐味:モンテヴェルディ 《オルフェーオ》 (2007.11.15)

「北とぴあ国際音楽祭」の2007年オペラ企画、モンテヴェルディの歌劇《オルフェーオ》公演に行ってきた。
北とぴあ さくらホール (JR王子駅)、 2007.11.15(木)。

寺神戸亮が出演・指揮するこのシリーズはユニークな公演が続いている。
昨年のハイドンの《月の世界》を覚えている。

このモンテヴェルディのオペラ《オルフェーオ》、初演が1607年で、今年は400年記念にあたるとのこと。
ストーリーはギリシャ神話からで、おなじみのものだ。


オペラの誕生を思わせる、シンプルな構成である。管楽器によるプロローグが初めにあって全5幕の構成であるが、
幕間がはっきりと意識されているわけでは無いようだ。
アリアにしても、どこかモノローグを思わせる。感情を爆発させたような、ダイナミックな歌唱があるわけではないし、
ここぞとばかりにオーケストラが鳴り響く場面があるわけでもない。
古楽器が奏でる優雅な響きが充満する。バロック・オペラの醍醐味を感じる瞬間だ。
寺神戸亮は指揮をしながら、ヴァイオリンを自ら弾く。バロック・オペラのスタイルを踏襲したのだろうか。

演出は能の様式を取り入れたとのことである。抑制された動きとか、床をはうような足の運びに、特徴があるのか。
しかし、もっとシンプルな演出でよかったのでは、というのが感想だ。衣装にしても、和装であるが、華美な趣があり、やはり違和感がある。ギリシャ演劇風のシンプルな衣装を期待していたのだが。

最終場面の、オルフェーオが父アポロに導かれて天国に上って行くくだりには、
能の舞?が登場するのだが、能の様式を理解していない者には、不釣り合い感がぬぐえない
歌い手では、波多野 睦美に抜群の存在感を感じました。


古楽器が活躍し優美な響き。トリプル・ハープというのも初見参だ。それに名前は知っていたが、キタローネ(リュートの親分みたいなもの)が2本。
← これが キタローネ

幕間にチェックすると、キタローネにはピックアップが付いていたようで、やはり元来の音量は小さいのでエレキで増幅していたようである。


<出演>
オルフェーオ:ジュリアン・ポッジャー
エウリディーチェ:懸田 奈緒子
女の使者/希望:波多野 睦美

指揮/ヴァイオリン:寺神戸 亮
管弦楽/合唱:レ・ボレアード


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