■ 若林顕:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全32曲 第4回 (2014.11.14)





戸塚区民文化センター さくらプラザホール 2014.11.14(金)

若林顕さんセルのフ・プロデュースによるベートーヴェン ピアノ・ソナタ全32曲演奏。当夜は第4回の演奏会。
つい数日前にベーゼンドルファーの熟成したピアノを堪能したばかり。今日は設置ほどないスタインウェイ(2013年のはず)の煌びやかな音色に圧倒された。






ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲シリーズの第4回。本日は第5番と第6番。はじめに若林さんから解説があった。ピアノ・ソナタ第5番はハ短調、第6番はヘ長調と、それぞれ交響曲の第5番《運命》、第6番《田園》と調性が同じて曲想も近い。交響曲はほとんどペアで作曲されたようだが、ピアノ・ソナタも同じような状況か。ハ短調はベートーヴェンの特質を代表する調性とのことだ――挑戦、闘争、前進……。

もちろん作曲年は、ピアノ・ソナタが1795-97、交響曲が1807-08と、ピアノ・ソナタが先行している。誰かが言っていたように、ベートーヴェンはピアノ・ソナタで、交響曲の事前作曲として、可能性を確かめていたのかも。

第4番。たしかに《運命》を思い出させるような、冒頭にはアタックの激しいテーマが出てくる。明らかに、ベートーヴェン以外の何者でもない。でも《運命》ほどの、突きつめた厳しさは聞こえないか。対照的に、第2楽章はとんでもなく優しい。そして第3楽章は明るい。全曲をまとめるような終結感はない。

第5番は、落ち着いた雰囲気の曲。ややモノクロームの印象がある。第3楽章はリズミックに速いテンポで終わる。

リストの2曲は若林さんのテクニックと、ピアノのメカニックの極地とも言える、ダイナミズム、華麗な響きに圧倒されました。
アンコールは、《コンソレーション》第3番、静かな佳曲です。第3回でも聞きましたが印象的でした。



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