■ 大野和士の振った ベルリオーズ:劇的交響曲 《ロメオとジュリエット》 (2006.7.30)


大野和士は、3日連続で、このベルリオーズの《ロメオとジュリエット》を振り、ヨーロッパに戻ったようである。
ついで10月にはモネ劇場で、ワグナーの楽劇 《トリスタンとイゾルデ》 の予定が入っている。
確か前任地のカールスルーエでも振っているはずだが、トリスタンには期待が大きい。

ベルリオーズは、サントリーホールで聞いた。


東京フィルハーモニー 第725定期演奏会 サントリーホール 2006.7.21(金)
指揮:大野和士  アルト:寺谷千枝子、テノール:真野郁夫、バス:牧野正人 合唱:東京オペラシンガーズ


指揮者が振り終わった途端に、ブラボーを叫んだ人間が数人いたようだが、とても信じられない!
休憩無しでほぼ1時間半を要した大曲。それも実演では初めて接した。いかに大野和士の指揮と言えども、途中から完全に緊張感を失ってしまった。

第1部冒頭の緊張感のある弦楽合奏に引き込まれたが、ようやく曲の半ばでかの有名な「マブ女王のスケルツォ」で一瞬耳を開かされる。そして、第6楽章から第7楽章のフィナーレへと。巨大なスケールで終結する。

やはり長すぎないか。それに、いわゆるシェイクスピアの原作とは様子が違うようである。ゼッフェレリの監督した映画が、いまや「ロメオとジュリエット」の、もっとも身近な古典ではないか。
かつて大野が得意としたプレトークがあってもよかったのでは――公開リハーサルがあったのかな?字幕も欲しかった。合唱や最終楽章のバス独唱などの活躍があったので。

さすがに大野でも、オケの音色を変えることは難しいようだ。アンサンブルは精緻なのだが、音色がガサガサして粗い感じが残る。オーボエなどの木管はまだしも、金管群に不満が残る。ホルンに頑張って欲しい。

ついでに。プログラムに附された野本由起夫さんの解説によれば、日本ではふつう文学・演劇や映画などでは『ロミオとジュリエット』、音楽畑では『ロメオとジュリエット』(略してロメジュリ)と表記するのが慣例とのことだ。


戻る