■ 北欧のメンデルスゾーンか? ステンハンマルの 《セレナード》 (2004.8.7)

かねて斉諧生さんのホームページで熱い紹介のあるステンハンマルに興味がありました。交響曲第2番を聞く機会があったのですが、NAXOS盤です、どうもいまいちピンと来ませんでした。沈潜し落ち込む感じが、ちょっともたれます。演奏の影響もあるかなと思いますが。


ところで今回たまたま手に入れた、ステンハンマルの《セレナード》(Op.31)、これは気に入りました。メンデルスゾーンを思わせるさわやかさで、ステンハンマル初心者には入門用にぴったりでした。セレナードとは言いながら、イタリアの一日を描く感じがありますね。朝の太陽のきらめきから、落ち着いた午後のひととき、そして夜の音楽、フィナーレは再び夜明けでしょうか。

アンドリュー・デイヴィス指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団の演奏にはまったく不満がありません。

第1楽章(序曲)は、まさにメンデルスゾーンの《イタリア》です。イタリアの明るい光を思わせる弦の動き、伸びやかなフルート。つややかなVnソロも魅力的。第2楽章(カンツォネッタ)は、ゆったりしたクラリネットで始まる。どこか懐かしい感じがあります。静かに消え入るように、ホルンと共に終わる。第3楽章(スケルツォ)。活発な響き、まさにスケルツオ。ホルンが遠くに聞こえる。

第4楽章(ノットゥルノ)は傑作ではないでしょうか。ほの暗い雰囲気から、フルートの声、弦の厚い響きがバックアップ。ホルンが重なり、弦がうねる。抑えられた情熱、かすかに悲痛な響きが、遠い日の郷愁も。ゆったりと、消えるように終わります。第5楽章(フィナーレ)。冒頭はホルンが明るい響き、クラリネットも。さわやかな弦は、朝日を思わせる。ティンパニを強打し力強いフィナーレがたたみ込む。シベリウスをどこか思わせる。スケルツオが再起してぽつんと終わる。

CDのライナー・ノーツを読んで、この《セレナーデ》がステンハンマルがイタリアに滞在したおりの印象に強く左右されたとあり、宜なるかなと納得しました。


◆CD;ベルント・ライセル(Vnソロ)、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:サー・アンドリュー・デイヴィス (FINLANDIA 3984-25327-2)

ヴィルヘルム・ステンハンマル (1871〜1927)はスウェーデンのスウェーデンの生まれ。指揮者、ピアニスト。シベリウスが交響曲第6番を彼に捧げたとのこと。ドイツ留学(1892〜93)、イタリア滞在(1907)

斉諧生さんのページ → こちら
ちなみに斉諧生さんの《セレナード》の推薦盤は、サロネン指揮、スウェーデン放送響 (Musica Sveciae MS626)


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