■ ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会 第7番 《レニングラード》 (2007.11.13)

雨の中、日比谷公会堂に出かけた。かねて令名は聞いてはいたものの、この会場に出向くのは初めての体験である。まさにレトロチックな雰囲気。内部は2階構造で、階段をやたらと上り下りする。階上席は、座席配置の傾斜角度がきついので、前席に邪魔されることなく、舞台と真っ正面に対峙する。座席は特に横幅が窮屈である。2007.11.10(土)。


指揮者・井上道義の主宰プロジェクト「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007 コンサート3」。本日は、その第3夜で第7番《レニングラード》がメインプロ。オーケストラがサンクトペテルブルグ交響楽団とあっては、聴き逃すわけにはいかない。

突然のプログラム変更を会場で知った。千葉県少年少女オーケストラによる交響曲第1番が追加になった。先入観を裏切って、このオケは本当にすごい。総勢は100名を超える規模のようだ。ショスタコーヴィチが19歳で作曲したというこの第1番にぴったり。ショスタコのややこしいスコアを譜面どおりに演奏することを超えて、甘酸っぱい香りさえ伝わってくる。

もちろん井上ミッチーがそれを引き出してるのだが。個々の技量も高い。トランペットとかクラリネットなんてうまいものだ。男子のなかにはちょっと不釣り合いに小さなヴァイオリン(n分の1モデルとか?)を抱え込んで演奏するのが窮屈そう。

こういう演奏には弱いんだな、涙腺を刺激されされました。
井上の話では来年ヨーロッパ演奏旅行をやるとのことだ。応援したい。

メインの第7番。これがまたすごい演奏だった。もう一生分の《レニングラード》をたっぷり聴いた感がある。舞台の左右にエクストラ・ステージを張り出して、そこにホルンやトロンボーンの金管の第2グループが構える。クライマックスではオケの大絶叫に取り囲まれることになる。階上席には、残響なしのむき出しの金管群が一直線に飛び込んでくる。

このオケを聞くのは確か2回目。いつもながらのとんでもない馬力だ。それに弦合奏が素敵だ。第7番では、荒々しいオケの合奏に挟まれて対比的に、短い瞬間ではあるが、弦合奏による、清新な叙情的なメロディーが静かに挟まるのだが。これが何回も頻出する。なめらかな弦の響きが良かった。

この《レニングラード》にはオケの思い入れも一層だろう。第1楽章のボレロを思わせる戦争の足音からはじまって、最終楽章の勝利へのクライマックスまで、大きなうねりを描く。最後は本当に会場が爆発せんばかりの全力演奏。


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