■ 庄司紗矢香 無伴奏ヴァイオリン リサイタル ( 2016.5.29)

神奈川県立音楽堂

会場は満席。熱演に拍手をおくり、サヤカの成長を見守という温かい雰囲気に充ちている。演奏姿にはまだ初々しい少女らしさが残っている。ヴァイオリンを弾き終わって、会場の拍手に応える様子もちょっとぎこちない感じ。

はじめはバッハの幻想曲とフーガ。ヴァイオリンが鳴り出した途端に、会場の空気が緊張感をもったものに変わる。ヴァイオリンの音が素敵。美しい音でなめらかでありながら、しっかりと会場の隅々にまで浸透する。低音が意外としっかり聞こえる、ヴィオラかと思わせるよう。

プログラムには、上野製薬株式会社から貸与された1729年製ストラディヴァリウス"レカミエ(Recamier)"と紹介されている。

バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ。こちらは日頃の睡眠不足のせいか聞きながら夢心地になってしまった。かすかに東欧のメロディーが聞こえるのに気づいた。

細川俊夫:ヴァイオリン独奏のための「エクスタシス」(脱自)(2016)。これは日本初演とのこと。どこか厳しい「対決」のような雰囲気を演奏のスタイルにも感じたのだが。作曲の細川さんは、庄司さんとともに会場の拍手に応えていた。

最後のバッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番。テンポ感もゆったり。くりかえし挑戦しているのだろうか。自信にあふれた演奏ぶり。テクニックも万全ですね。最後のシャコンヌが胸に響いてくる。フライング気味の拍手には残念。


<プログラム>
J.S.バッハ:幻想曲とフーガ(ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ編)
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
細川俊夫:ヴァイオリン独奏のための「エクスタシス」(脱自)(2016)
<委嘱作品・日本初演>
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番





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