■ メシアン:《時の終わりのための四重奏曲》 (2016.5.26)

青葉区民文化センター フィリアホール 2016.5.26(木)

地下鉄の終点から田園都市線に乗り継いで青葉台に。長時間の乗車だが老齢者パスが利くのがうれしい。街の雰囲気がどこか洒落ているよう。東急スクエア5Fのフィリアホールへと向かう。観客の入りは60%ほどだろうか。最後列に座る(A席だ。なかなか厳しい席割りである)。

弦楽四重奏の演奏会。プログラムにはなかなか耳にしない現代曲が並んでいる。演奏は若手4人。パリでも学んでおり、錚々たる経歴の持ち主のようである。フレッシュな意気込みを感じた演奏会でした。

開演。暗闇のなかにピアニストだけが浮かび上がる。武満徹 《雨の樹》、ピアノ・ソロが始まった。副題に「メシアンの追憶に」とある。静かな雨のイメージか。つづいて《カトレーンII》。どうも自分には未だ「武満徹の音楽」の聴き方が分かっていないようである。あるがまま向かい合えば良いのだろうか? どうも響いてこない。あの《ノヴェンバー・ステップス》なんか面白く聞けるのだが。

休憩をはさんで、メシアンの《時の終わりのための四重奏曲》。「ヨハネの黙示録」に触発されて作曲されたとのこと。全曲には啓示的なメッセージがこめられているのであろうか。初心者には難解である、聞き所をふくめてプレ・トークのようなものがあれば良かったな。

4人の合奏では、全体の骨格づくりは、やはりピアノに委ねられているのだろうか。クラリネットは終始、メシアンお得意の「鳥の声」を奏している ――これは現実世界を表しているよう。チェロは内省的である。ヴァイオリンはメッセンジャーの役割か。最終楽章のソロでは希望の光のようなものが見え、とりわけ印象的である。

第1楽章から「鳥の声」が聞こえる。前奏曲の位置づけとなるのだろう。続く第2楽章では、ピアノの強烈なアタックに合奏が重なり緊迫感が醸される。第3楽章は、クラリネットの独奏。息の長いフレーズで弱小音から強大音へと上りつめる。テクニックが大変。

第4楽章は間奏曲。ここでイメージが一変する。舞曲的な要素もありそう。第5楽章、第7楽章では静かなチェロ。第6楽章は、強いリズムと合奏が繰り返される。最終の第8楽章、長いヴァイオリンのソロ。どこか昇華を感じるような。

<プログラム>
武満徹:《雨の樹 素描II―オリヴィエ・メシアンの追憶に―》
武満徹:カトレーンII
メシアン:《時の終わりのための四重奏曲》

<出演>
ピアノ:萩原麻未
ヴァイオリン:成田達輝
チェロ:横坂源
クラリネット:吉田誠

 


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