■ METライブビューイング2016 《トリスタンとイゾルデ》

横浜ブルク13 2016.11.16(水)

METライブビューイングに行ってきた。この横浜ブルクでの鑑賞は初めて。演目は、またまたワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》でした!
メトロポリタン歌劇場での2016.10.8の上演を収録したもの。シーズン幕開きの第1作で新演出とのことだ。

さすがに劇場のイスはリラックスできる、飲み物を片手にゆったりと見られるのは、なかなか良い感じ。それに前席の頭が画面にかぶらないように座席配置も考えられている。11:00~16:25 2回の休憩を含めて5時間超の長丁場も苦にならなかった。
客席は半分ほど埋まっていたのだろうか。かなりの割合で女性客が多い。女性客は手慣れたもので、休憩時間に持参のおにぎりでエネルギーを補給していた。


重量級のいかにもMETらしい豪華キャストの公演だった。主役の二人は全幕をフルパワーで歌い通しましたね。ニーナ・ステンメはもう100回ほどイゾルデを演じているらしい。第2幕なんかまさに熱情があふれるよう。演技も達者。終幕の「愛と死」では、わずかに声のかすれが出ていたように聞こえたのだが。

テノールのスチュアート・スケルトンはトリスタンは初めてなのでしょうか。それにしては破綻がまったく感じられませんでした。第3幕の長いソロ独唱なんか大変。外見的にはややコワモテ風なのが気にはなりましたね。トリスタンはもっと繊細であるべし。
それにマルケ王はルネ・パーペが貫禄の歌唱。

それにしても、やっぱり、サイモン・ラトル指揮のオケがすごかった。ドライブ力が強かったですね。何というか立体的にオケの響きが交錯し、それぞれが自己を主張する。そしてドラマを創り上げる。幕間のインタビューでマーラーの楽譜の書き込みを研究したのと言があったが、こんなことがあるんだ。

舞台は終始、海をイメージしていたのか。冒頭から船上ですが客船ではなさそう。要所で怒濤のような波が映し出される――プロジェクション・マッピングというのか。第2幕の後半は、どこか船倉なのか。ひょっとして核燃料貯蔵庫とか思ったのだが。
トリスタンの傷つく場面とか、イゾルデが自殺を図るのも目新しい演出だったよう。

オーディオには大いに不満があった。とても自慢の音響再生とはいかない、映画館の音だった。「臨場感溢れる5.1サラウンド」にはまったく聞こえない。興をそがれました。


<出演>
指揮:サイモン・ラトル
演出:マリウシュ・トレリンスキ

<キャスト>
イゾルデ:ニーナ・ステンメ(ソプラノ)
トリスタン:スチュアート・スケルトン(テノール)
ブランゲーネ:エカテリーナ・グバノヴァ(メゾソプラノ)
マルケ王:ルネ・パーペ(バス)
クルヴェナール:エフゲニー・ニキティン(バス)




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