■ 大野和士: リヨン歌劇場 凱旋公演 オペラ 《ウェルテル》(2009.11.1)

大野和士が首席指揮者に就任したフランス国立リヨン歌劇場の凱旋公演が実現した。
その初日のコンサートに行ってきた。オーチャードホール、2009.11.1(日)

マスネ作曲の歌劇《ウェルテル》(演奏会形式)

かつて、大野和士が東フィルの常任指揮者時代に、積極的に取り組んでいた「オペラコンチェルタンテ形式の
演奏である。いつもはオケピットに入るオケが、舞台上に広く展開する。歌手陣は、必要最小限の演技という
スタイル。

リヨン歌劇場のオケが登場し、大野がひと振りして、紡ぎ出された音は、
まさに大野とリヨン歌劇場が、いま非常に良い関係にあるのではと、納得させる響きだ。躍動感がある。いま
、これだけビビッドな響きを出せるのは大野和士がナンバーワンではないかな。

オケは舞台に乗っているので、当然音量があり、歌手の声を隠してしまう危険がある。
大野は微妙なオケコントロールで、まとめるのだが、
オケのプレイヤーの方がノリがよくて、思わず音量が上がってしまうというような印象だ。
プレトークにあったように。このオペラ実にオケの活躍が求められる。ライトモチーフの活用もある。確かに
ワグナーの影響があるのだろう。
大野によれば、第3幕のアリア「おお春風よ」は《トリスタンとイゾルデ》からの派生だとのことだが。
歌手陣では、シャルロッテ役が、一番との印象であった。

この《ウェルテル》をモネ劇場でも鑑賞したのだが、本日のリヨンの方に充実感があった。大野の基本コンセ
プトは変わらないのだが、柔軟な指揮ぶりが一段と磨かれたようだ。
こちら

やはり本来のオペラ形式で観たかったというのが本音だ。
それにしても、観客の熱気がすごい。このところ急速に大野和士への期待が高まっているようである。


<キャスト>
ウェルテル:ジェイムズ・ヴァレンティ(テノール)
シャルロット:ケイト・オールドリッチ(メゾソプラノ)
ソフィー:アンヌ=カトリーヌ・ジレ(ソプラノ)


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