■ ショスタコーヴィチ交響曲第5番 広上淳一の指揮 (2002.8.13)

2002.7.5(金)、オーチャードの東フィル定期。急病のヤーノシュ・コヴァーチュに代わって、広上淳一が指揮。なかなか俊敏な棒を振るとの印象を受けた。

曲目はショスタコーヴィチの交響曲第5番。野本由紀夫さんの楽曲解説はいつもながらに啓蒙的である。特に第4楽章の中間部のテンポについては見解が分かれるとのこと。もともと楽譜そのもの指定が速すぎるとする意見がある。印刷ミスとして、堂々たるテンポで演奏するのだ。一方、楽譜どおり演奏すると、半狂乱状態で突入し、楽天的な勝利、歓喜の歌で終わる。広上の演奏は後者であった。

全曲を改めて聞くと、マーラーの響きが色濃く聞こえる。第1楽章のいつものショスタコーヴィチの虚仮威し的なコントラバスを強調した導入から緊張感のある演奏であった。第2楽章はマーラーそのものではないか。野本さんの解説によれば、かつては人民の歓びの楽章と考えられていたそうだが、今は明らかに皮肉な響きがリズムを刻む。第3楽章は対照的に慰めの音楽とも。このあたりは東フィルの特長である弦を良く歌わせました。



広上淳一の演奏で、ボロディンの交響曲を収めたCD(BIS CD-726)を入手。さっそく、交響曲第1番変ホ長調を聞いた。曲目、演奏とも魅力的です。
第1楽章(アダージョ) ベートーヴェンの第一交響曲を思わせる不協和音の開始。民謡風なシンプルな調べが一貫して流れる。いかにも初書きらしい素直な曲風。
第2楽章(スケルツォ) 草原を疾駆する若駒を連想させる爽快な楽章。
第3楽章(アンダンテ) ちょっとノクターン風、ボロディンの面目を発揮。
第4楽章(アレグロ) 活発なリズム、広上の指揮はよくコントロールが効いて、終結を盛り上げる。
オーケストラはマルメ交響楽団。録音はBISを代表する自然な残響感のあるもの。


広上純一 (ひろかみ・じゅんいち) 1958年、東京生まれ、東京音楽大学指揮科で学ぶ。84年第1回キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクールで優勝。フランス国立管、ベルリン放送響、コンセルトヘボウ管、モントリオール響、イスラエル・フィル、ロンドン響に次々とデビュー。89年シドニー歌劇場に日本人として初めて出演、「仮面舞踏会」を指揮。翌年も「リゴレット」を指揮。91年にはウィーン響を指揮してウィーン・デビューを飾った。91〜95年、スウェーデンのノールショビング響の首席指揮者を務めた。◆91〜2000年、日本フィルの正指揮者として活躍、96年ヨーロッパ公演。また同年、ダラス響、ピッツバーグ響等を指揮してアメリカデビュー。97年には大阪のザ・カレッジ・オペラハウスで「トスカ」を指揮して、国内でのオペラ・デビュー。◆97年ロイヤル・リヴァプール・フィル首席客演指揮者、98年オランダのリンブルク響首席指揮者に就任。


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