■ マーラー 交響曲第5番

1999年.8月.29(日) 鎌倉芸術館に大野和士と東フィルのマーラーの交響曲第5番を聞きに行く。鎌倉芸術館はJR大船駅から歩いて10分、すっきりした印象の威圧感のない建物である。平成5年10月に開館、大ホールの客席数は1,500、中規模の演奏会場。座席は1階の中央で16列25番。残暑の一日、コンサートの開始は15時であるが館内の冷房も追い付かない。高音の残響にちょっと耳障りの感があったのだが、もう一度確認したい。

マーラーの交響曲第5番は、第4楽章に有名なアダージョを持つ5楽章構成である。
大野の演奏は最初から気合いの入った熱演、もちろん暗譜で指揮する。
まずは第1楽章冒頭のトランペットでほっとした。ここでトランペットがこけると全曲が台無しになってしまう。安定したテンポで導入部として期待させる。葬送行進曲への思い入れは薄い。手慣れた演奏なのだろうか、金管群が快調である。弦楽器のアンサンブルにも緊張感がある。トランペットがずーと頑張る。

第2楽章は、すごみのある低音合奏で開始。なにか不安感が醸し出される。
第3楽章。ホルンから角笛が聞こえる。ワルツか幸せな気分、野に遊ぶここち。
弦楽合奏とハープのみの第4楽章。やはり天下の名曲、慰めと憧れ、いつまでも続いてくれ甘美な調べよ、との思い。すっきりとした演奏だ。恣意的にテンポを動かすことはない。第5楽章はスケールの大きなフィナーレを築く。ちょっと緊張感が緩んだ箇所があったかな。

大野は全力投球、オーケストラもそれに応える熱演であった。第5番はマーラーの技の限りをつくしたオーケストラ曲。金管の浸透する響きと弱音器を付けた破れたような音の対比、打楽器の活躍、複雑な曲ではある。大規模オーケストラの醍醐味を満喫した一日であった。




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