■ 横フィルの マーラー 《交響曲第5番》 (2003.11.25)

みなとみらいホール 大ホールで横浜フィルハーモニー管弦楽団 (通称は「横フィル」) 第50回定期・記念演奏会があった (2003.11.24)。横フィルの創立は25年前とのことだ。

曲目は、(1) モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 独奏 仲道祐子(仲道郁代の妹)、(2) マーラー交響曲第5番、指揮はいずれも 横島勝人

マーラーの第5番。大曲への挑戦でしたが、楽員全員の熱意と共感が伝わってくる、すばらしい演奏で した。横フィルの実力が普段以上に発揮されたのではないでしょうか。満員の聴衆を前にして、実演の緊 張感もプラスしましたね。

マーラーでは金管が活躍します。特に冒頭のトランペット・ソロは演奏者に大きな緊張を強いると思われます。このソロを無事に乗り切ったことで、オケのテンションが保持されたのでしょう。第3楽章スケルツォのホルンもうまく行きました。今回は座席がオーケストラ裏側のP席なので、オケの全体バランスは分かりませんでしたが、指揮者の指示と反応はよくわかりました。ホルンが吹き終わったあと、指揮者のほっとした安堵感がわずかに見 て取れました。クラリネットが時おり管を水平にして吹いたのは楽譜の指示でしょうか、今まで気がつき ませんでしたが。

第4楽章 甘美な弦楽合奏。いつ聞いてもしびれます。指揮の横山氏は、わずかに色気をふくらませた かなと聞き取れたのですが。圧倒的な終楽章も力演です。全員バラバラと崩壊せずにかろうじてバランス を保ちました。

プロとアマの差はどこにあるのでしょう。正確な音程、緊密な合奏、楽器同士のバランス、スムーズな音量コントロール、音色の豊麗さとか楽器の差もありますね、それと演奏経験と余裕・スタミナでしょうか。アマにとっては高い壁です。もちろん、アマでは演奏に参加できること自身で満足するということがある かもしれない。

それでも、オーケストラで演奏するからには、何とかして作曲家のメッセージをうまく伝えたい、すば らしい音楽を聞いたという感激を共にしたい、という思いは強くあるでしょう。今回の演奏会には、未踏の大曲に取り組む「意欲・情熱」、それに演者自身の「新鮮な感動」がありまし た。

同時に演奏されたモーツアルトのピアノ協奏曲 第20番。独奏の仲道裕子さんに感心しました。透明で粒だったピアノが魅力的です。やたらと情念を込めない演奏 態度にも共感しました。これからファンとして見守って行きたいと思いました。

横フィルのホームページは → こちら

仲道祐子さんのホームページは → こちら



■ 横浜フィルハーモニー管弦楽団 第45回定期演奏会 (2001.6.9)




横フィルの定期演奏会に行ってきた(6.9)。会場は東京・蒲田の大田区民ホール[アプリコ]。別にカタカナ名を付ける必要はないと思うのだが、アプリコとはどういう意味?

多目的の中規模ホール。建ってまだ間がないのだろうか、木の香りが新しい感じ。響きが素直であると感じた。直接音が主体で反響は少なそうだ。演奏者にとってはどうか、アラが出やすいかな。会場はアマチュア・オーケストラ特有のリラックスした雰囲気。

曲目は(1) R・シュトラウス《ドン・ファン》、(2) ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》から「前奏曲」と「イゾルデの愛の死」、(3) ブラームス 交響曲第1番。指揮、長野力哉。盛り沢山のプログラム。普通はなかなかお目にかからないメニューです。

それぞれの演奏に、大きな拍手とブラボーの声が飛びました。確かに感動させる演奏だったと思います。名曲だからと言うだけでなく、オーケストラの熱意が客席に伝わりました。

R・シュトラウスの緻密なオーケストレーションがわかりました。トリスタンでは、「憧れ」の響きがありましたよ。弦楽器は熱演ですね、金管が入るとややバランスを崩しますが。ブラームスの第4楽章、ホルンの聞かせどころはちょっと緊張しましたが、うまく乗り切りました。アンコールは定番のハンガリー舞曲でお手の物。

横のメロディー・ラインに対して、縦線のきっちりした切れ味が出るかどうかが、プロとアマの年期の差でしょうか。もちろん指揮の長野さんは的確にオーケストラを引っ張りました。初夏の一夜を楽しんだ演奏会でした。



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