■ 『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』から学ぶ (2001.5.25)


『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』を読んだ。ビジネスに直結するノウハウが詰まっているので要点を紹介しよう。

マッキンゼーは1923年に創業された。現在、世界で最も成功している戦略コンサルティング会社と言われている。全世界に70以上の支社を持ち、4,500人にのぼるプロフェッショナルを抱える。マッキンゼーの「卒業生」には、大前研一をはじめ、『エクセレント・カンパニー』の共著者トム・ピーターズなどがいる。
大前研一『企業参謀』はこちら

本書はやはりマッキンゼーの卒業生である、イーサン・M・ラジエルがまとめたもの。1989年から1992年までニューヨーク支社に勤務。金融、電気通信、コンピューターなどの業界の大企業をクライアントとして担当した。のちに、株式ファンド・マネジャーとして活躍。

本書は5章で構成されるが、前半の3章が興味のあるところ。
Tマッキンゼー式<ビジネス問題の考え方>
Uマッキンゼー式<ビジネス問題の解決方法>
Vマッキンゼー式<解決策の売り込み方>
紹介について。まずT章は、問題解決のプロセスを中心に要点をまとめてみる。U章とV章はキーワードを抽出するのに留める。

マッキンゼーでは、「3」がマジックナンバーになっている。あらゆることが、3つ揃いで表現される。


Tマッキンゼー式<ビジネス問題の考え方>
問題解決プロセスに「三つの特徴」がある
・事実に基づき
・厳密に構造化され
・仮説主導である

(1)問題解決は「事実」から出発する
「当初仮説」を立て、その仮説を立証するために、あるいは誤りであることを証明するために、必要な事実を集める。

(2)問題解決に不可欠な条件――MECE(ミーシー)を貫徹させる
MECE(mutually exclusive,collectively exhaustive)とは 「互いに重ならず、すべてを網羅する」こと。MECEであれば、最大限の明晰さ(最小限の混乱)と最大限の完璧さで思考を構造化できる。

(3)最初の会議で問題を解決してしまう――当初仮説
・「行動する前に問題の解決策を考えること」。当初仮説が正確なら、問題解決とは、事実の分析によって地図の細部を埋めていく作業になる。当初仮説を立てる第一歩は事実にある。
・当初仮説を立てるには、まず問題をその構成要素に分解することから始める。キー・ドライバーに分解するのである。

アプローチをいかに発見するか
・たいていのビジネス問題は、互いに違っているいるより、似ている部分のほうが多いものだ。しかし、まったく同じ問題は存在しない。
・解決策に事実をあてはめるな
・みごとな解決策であっても、クライアントが実践できなかったら、なんの役にも立たない。コンサルタントには、クライアントの限界を知るという責任がある。

80対20の法則
この法則は経営コンサルティングの――ひいてはビジネス全般の――偉大なる真理の一つである。<実例> 売上げの8割を販売部門の2割があげている。秘書の勤務時間の8割が仕事の2割にとられている。


Uマッキンゼー式<ビジネス問題の解決方法>
チームの士気に気を配る
・チームの体温を計る。チームメートと話すこと
・一定方向に進む。進む方向を決めて、コースを変更しない
・チームメートに彼らがしている作業の目的を知らせる
・敬意をもってチームメートを遇する。チームメートを人間として知る

リサーチの実践テクニック
・年次報告書を懐疑的に読む
・外れ値に着目(とびぬけて良いかまたは悪い値)
・ベストプラクティスを捜す。その業界でトップクラスの業績を上げている人たちのやり方を探り当てそれをまねる

面接を成功させる7つの戦略
(1)相手の上司に面接のお膳立てをしてもらう
(2)2人で面接をする
(3)誘導しないで聴く
相手が自由に答えられる質問をする。イエスかノー、または選択肢から選んで答えるような質問をしない
× 「いちばんの書き入れどきは夏ですか、冬ですか」
○ 「いちばんの書き入れどきはいつですか」
(4)言い換える
(5)間接的アプローチを用いる
(6)求めすぎない
(7)刑事コロンボの戦術を用いる

ブレーンストーミングの仕方
・用意周到な準備(データパックなど)
・白紙の状態から始める
・悪いアイデア、ばかげた質問というものはない
・自分のベビーを殺す心の準備をしておく
・紙に記録する


◆『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』イーサン・M・ラジエル著、嶋本恵美/田代泰子共訳、英治出版、2001/3。
(THE McKINSEY WAY Using the Technique of the World's Top Strategic Consultants to Help You and Your Business)


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