■ 新日本フィルハーモニーとバルトークの 《オケコン》 (2002.2.23)

2002年1月11日 すみだトリフォニーホールに行った。新日本フィルハーモニー交響楽団1月演奏会 名曲シリーズ<クラシックへの扉> 第25回を聞いた。大野和士は、ほぼ5カ月ぶりの国内での指揮。久闊をいやすに十分な演奏であった。協奏曲での絶妙なバックアップも身近に確認することができた。

すみだトリフォニーは初めて。JR錦糸町駅から歩道がそのままホールの2F入り口につながっている。商売柄、駅前の富士ソフトABCの本社ビルが気になったが。正面にパイプオルガンのそびえる立派なホール。素直な響きが期待できそうである。座席も比較的ゆったりしている。1階6列の右端なのでほとんど舞台を見上げる感じであった。

コンサートに先立って、12月29日 93歳で逝去された指揮者朝比奈隆さんの追悼演奏が行われた。ベートーヴェンの交響曲第7番から第2楽章。大野和士も感情を込め、オーケストラも真摯な演奏である。あのオーケストラ配置、通常は第2ヴァイオリンの位置にチェロとコントラバスの低音群を並べる、は朝比奈スタイルでしょうか。

◆モーツァルト: ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K.453 ピアノ 小山実稚恵
管楽器とくにフルートとピアノのからみ合いが美しい曲であった。フルートやクラリネットなど管楽器のハーモニーが一部ささくれ立つ感じでちょっと荒れ気味に聞こえたのだが。第2楽章は、思い入れ深くピアノがたっぷり歌う。第3楽章は大野和士の絶妙なバックアップがありましたね。

バルトーク:管弦楽のための協奏曲
透明かつ分離のよい演奏。大野和士の指揮では、この明確な分離感を常に意識する。例えばワーグナーではライトモチーフがくっきりと浮かびあがるように。このバルトークでも管弦楽の強奏と対比して、ハンガリーの民謡が明瞭に聞こた。モーツァルトではちょっと不満だった、あれ気味の音色のフルートがこのバルトークにはぴったりとマッチ。次にどんな楽器が出てくるのだろうと、わくわく感のあふれる演奏であった。最終第5楽章は、かなりの急テンポでオーケストラも必死であった。バルトーク晩年の精妙な名曲であることを再認識したのであった。


◆2002.1..18、19には ショスタコーヴィチの交響曲第8番が演奏されたが、残念ながら行くことができなかった。
音楽評論家・長木誠司さんのホームページには、その時の演奏が報告されています。→ 閑古鳥の部屋から「演奏会の感想なるものへ」





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