■ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全32曲 シリーズ最終回 (2017.11..10)
若林顕セルフプロデュース
2017-11-10(金) 戸塚区民文化センターさくらプラザ・ホール
2014年にスタートした3年がかりのベートーヴェン ピアノ・ソナタ全32曲演奏会がついに完結! 「ありがとう」と叫んだ私の声は若林顕さんに届いたかな。
プログラムは2時間にわたる盛り沢山のものだった。アンコールも3曲も
はじめのショパンの《エオリアン・ハープ》はシンプルな曲。《牧童の笛》とも言うようだ。
次はベートーヴェンの《熱情》。ショパンに続けて時間をおかずに聞くと、ベートーヴェンのダイナミックな曲想とか、強い意志的な響きに強く圧倒される。「運命のモチーフ」が至るところで出てくる。第2楽章でほっとします。
本日のメインはベートーヴェンの交響曲をリストが編曲した《田園》。果たしてどうなるかなと興味津々で聞いたのだが。少しも違和感がなかった。第1楽章の冒頭からまったくピアノを意識させずに、あの《田園》が聞こえてきた。カッコーの鳴き声も聞こえましたね。
白眉は第5楽章だったと思います。雷鳴と嵐の第4楽章のあと、感謝の様子が歌われる。リストの編曲は、コラールが大きな伽藍に響くようである。重層的な構成でスケールが大きい。ゴシックの大寺院がそびえ立つようであった。リストが技の限りを尽くしたのか。
50分の大曲を若林顕さんは暗譜で引き切った。すごい!
アンコールの「コンソレーション第3番」は定番ですね
<プログラム>
ショパン:エチュード集Op.10、Op25から
《エオリアン・ハープ》《別れの曲》《黒鍵》《革命》
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》
ベートーヴェン・リスト編曲:交響曲第6番《田園》(ピアノ独奏版)
<アンコール>
リスト:コンソレーション第3番
モーツァルト:メヌエット(K.1)
チャイコフスキー:《くるみ割り人形》から終曲のワルツとアポテオーズ
ピアノ:若林顕