■ ゲルギエフ指揮 藝大学生オーケストラ (2015.12.1)
2015.12.01 奏楽堂
「チェスキーナ・洋子さんの想い出」と題して、ワレリー・ゲルギエフが東京藝大 学生オーケストラ(TGS0)を指揮するリハーサルが行われた。
これはゲルギエフが、藝大の卒業生でもあるチェスキーナ洋子さんの功績を讃え死を悼むものだろう。
チェスキーナ・洋子さんは東京藝大ハープ科卒。東京交響楽団ハープ奏者を経て、1960年戦後初の公費留学生としてイタリア・ヴェネツィア音楽院に留学。資産家のレンツォ・チェスキーナ氏と結婚。巨額の遺産を日本や海外の文化芸術の支援に費やした。2012年には東日本大震災復興支援チャリティー・コンサートの実施にも尽力した。
とりわけゲルギエフやマゼールら世界的な指揮者たちとの親交が深く、ロシア・マリインスキー劇場に隣接する新劇場やコンサートホールの建設などにも多大な貢献を果たした。2015年1月10日ローマにて逝去。
リハーサルでは、R.シュトラウスの《ツァラトゥストラかく語りき》が演奏された。オケは総勢100名超か。パイプ・オルガンも加わる本格的な編成。学生連中は緊張感120%といった様子だ。試奏にもやたらと力が入っている。
ゲルギエフの指揮で始めに1回通しで全曲が演奏された。すでに、きっちりと下稽古が行われた様子。素人聞きにはもうこれで十分という感じだ。オケを指導するゲルギエフの声は残念ながらほとんど聞こえない。英語だったようだ。仲間の演奏を良く聴けとか、言っていたかな。さすがに演奏は明瞭な形になる。
終わり間際にマイクのスイッチが入り、ゲルギエフの声が聞こえてきた。チェスキーナ・洋子さんへの感謝の言葉があった。学生に対しては、パリのテロ事件などに言及し、日本の音楽環境は充実しているので頑張れと言ったようだ。
<追伸> ゲルギエフは、首席指揮者をつとめるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の日本ツアーの最中。この日(12/1)も夜にはサントリーホールでの公演が予定されているようだ。