■新国立劇場 《ドン・ジョヴァンニ》

モーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》を見てきた。新国立劇場 2012.4.24(火)

幕が開くと舞台はヴェネチアだ。ドン・ジョヴァンニとレポレッロはゴンドラに乗って登場する。快調なすべり出しだ。ここで前回公演を思い出した(2008.12.15)
《オテロ》公演と混同したのは無理ないな

このヴェネチアの演出コンセプトはずっと終幕まで続くのだろうか。レポレッロのアリア《カタログの歌》で登場する巨大な人形はやはりグロテスクである。意図も不明では。

歌手陣は全般的に好調だし、公演全体も推進力のあるものでした。指揮者(エンリケ・マッツォーラ)の力でしょうか。オケのコントロールもなかなか工夫が感じられました。第2幕のドンナ・エルヴィーラ独唱のバックアップなんか素晴らしいと思いました。オケの東フィルも見違えるよう。

主役のドン・ジョヴァンニのマリウシュ・クヴィエチェンが、歌唱・演技ともに素晴らしかった。声量も充分。精力的なドン・ジョヴァンニ像ですね。

今回は日本人が頑張っていました。レポレッロも良かったのですが、声質がもう少し軽い方が自分の好みですね。ツェルリーナも小柄な可憐さがいい。

ついでに
コレペティトゥール/チェンバロの小埜寺美樹さんのブログを見つけました → こちら

<出演>
ドン・ジョヴァンニ:マリウシュ・クヴィエチェン
騎士長:妻屋秀和
レポレッロ:平野和
ドンナ・アンナ:アガ・ミコライ
ドン・オッターヴィオ:ダニール・シュトーダ
ドンナ・エルヴィーラ:ニコル・キャベル
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:九嶋香奈枝

指揮:エンリケ・マッツォーラ
演出:グリシャ・アサガロフ

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


■ 《ドン・ジョヴァンニ》 充実したモーツアルトの舞台 (2008.12.23)




新国立劇場に 《ドン・ジョヴァンニ》を観てきた。(2008.12.15)
外は12月にふさわしいかなりの寒さ。4階席は館内の熱気が集まってわずかに汗ばむようでもあった。

新演出とのことだが、読み替え版ではない。スムーズにオペラに溶け込むことのできるオーソドックスなものであった。歌手やオケともに充実した舞台。満足でした。ツェルリーナ:高橋薫子さんの可憐さはオハコでしょうか

冒頭の場面は、ヴェネチアだろう、ゴンドラのシーンから始まる。なかなか快調な滑り出し。ずっとヴェネチアで通しても良かったのではと思ったのだが。カタログの歌では、大きな人形が登場する。幕切れ場面で、この人形が生気を失って放り出されているのだが……
地獄落ちも迫力のあるものでした。ドン・ジョヴァンニを招き入れる、手の様子がイソギンチャクのように見えました。

指揮者のコンスタンティン・トリンクス。プログラムの紹介を読むと、カールスルーエのバーデン州立歌劇場で大野和士のアシスタントをつとめていたとのことで、にわかに親近感がわいてきた。1975年生まれとのことで、まだ33歳の若さ。

指揮の真面目な様子が伝わってくる。もっと芝居っ気があっても良いと思ったのだが。最終幕の地獄落ち。音量はすごいのだが、緊張感がやや薄かったのだが

オーケストラは、ヴィブラートを抑えた、古楽器演奏に聞こえました。澄みきって緊張した響きである。東フィルは好演でした。

歌手では、ドン・ジョヴァンニ:ルチオ・ガッロがさすがに力がありました。それと、ドンナ・アンナ:エレーナ・モシュクが良かった。ルーマニア生まれとのことでルチア・ポップを思わせるよう。


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