■ マーラー 《交響曲第7番》 札幌Kitaraのバレンボイム (2005.2.23)
札幌へ出向く機会があったので、Kitara (札幌コンサートホール) のスケジュールをチェックしてみたところ、バレンボイムとベルリン・シュターツカペレの演奏会があるではないか。早速チケット状況を確認するとまだ余裕があるとのこと。この際ということでS席をゲットした。Kitaraは初体験。シュターツカペレ共々、どんな音響効果かも楽しみである。
今年の札幌は例年になく雪が多いとのこと。当夜もかなりの雪。おまけに地下鉄の中島公園駅からは、吹きさらしの中を、胸ぐらいまでの雪壁に囲まれて延々とアプローチを歩く。横浜から来たものにはつらい。Kitaraはメカメカしい雰囲気である。外壁のガラスとパイプ、それに床の白っぽい大理石が醸し出す。内部は清潔で几帳面な感じを与える。座席の背もたれが黒色であることが影響しているようだ。オケを取り囲むような座席配置で、ミューザ川崎を思い出させる。
ロビーではドイツ人が目についたのだが。かなりドイツ語が聞こえてきた。ちらっと見かけたのは、指揮者のブロムシュテットではなかったか?
2005.2.23 (水)
Kitaraワールドオーケストラシリーズ
ピアノ&指揮 : ダニエル・バレンボイム 、管弦楽 : ベルリン・シュターツカペレ
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19
マーラー : 交響曲 第7番 ホ短調 「夜の歌」
ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第2番は、バレンボイムの弾き振り。バレンボイムのピアノは、粒だちのきわだった美音で、モーツァルトを思わせる。ベートーヴェンの、当時の最新鋭のメカニズム=ピアノを手に入れた、という飛び跳ねるような喜びが伝わってくるリズミックな演奏であった。ベートーヴェンの初期作品にいかにもぴったり。さすがにアンコールはモーツァルトのピアノソナタから。
マーラーの交響曲 第7番 「夜の歌」は巨大な4管編成。ステージ狭しとオケが並ぶ。対抗配置で、最後列にずらりと打楽器が目立つ、ハープも2台。第1楽章の導入部分は意外と明るい響き。オケ自身はやや暗い温色であるようだが。ホルンが鳴った途端に、オケの実力を含めて、これはちょっと聞けない響きだなと実感した。分厚い弦の響きと多彩な打楽器がクリアに分離する。この辺はマーラーを聴く醍醐味でもあり、ホールの短めの残響時間が効果的なようだ。
第2楽章は牧歌的でもある。途中でからんからんと鳴るのはカウベルか。ここは夜の歌(1)。第3楽章は、ちょっとグロテスクなダンスを思わせる。第4楽章。マンドリンとギターの合奏が効果的だ。セレナードを思わせる。ここが夜の歌(2)になる。
第5楽章は、全曲を総括する圧倒的なフィナーレで締め括られる。シュターツカペレの底知れぬパワーもすごい。安定感のあるホルンを始めとする金管群が素晴らしい。夜の歌で始まったが、ついに太陽が輝きだした、たくましい希望さえ感じさせる朝を迎えたのだろうか。勝利の鐘チューブベルも鳴り響く。
バレンボイムの指揮は実に明確。安定したテンポで全体を組み立てた。明るく分離の良い響き。音響効果も知り尽くしている。やや食わず嫌いの感のあったマーラーの第7番に目を開かせてくれた。
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