■ コンヴィチュニー演出。チャイコフスキー:《エフゲニー・オネーギン》 (2008.9.12)
二期会の公演、チャイコフスキーの歌劇《エフゲニー・オネーギン》を観てきた。
上野・東京文化会館 2008.9.12(金)
演出が話題のペーター・コンヴィチュニー。
すでに新国立で、モーツァルト《ティトの慈悲》で彼の演出を経験している。
この《エフゲニー・オネーギン》はそれほど奇をてらったものではなかった。
初日ということもあり、ちょっとしたトラブルも見られたが、
チャイコフスキーの叙情的メロディーがたっぷりしたオペラを楽しめた。
コンヴィチュニーの演出は、会場の空間をダイナミックに活用することが特徴のひとつか。幕開き前から、早くも舞台が始まっている。邸宅のホールのようでもある。そこで、執事のしつこい指示に従って掃除婦が床を磨いている。片隅では女性2人がベンチに座って編み物をしている。何とはない日常の描写か。突然男が奇声をあげて倒れオペラが始まる。
邸宅のホールを思わせるセットが一つで、これが場面に応じて舞台となる。
第1幕は長大な手紙の場。本をうずたかく積み上げてタチアーナの部屋を表している。オケピット前面の回廊まで出てきてタチアーナは歌う。
次の第3場。農家の娘たちが娼婦?になっているのは何故?
第2幕の幕切れ、レンスキーとの決闘から、すぐに第3幕につながりワルツ/ポロネーズの前奏曲だったか?が直結して演奏される。
雰囲気が一変する、このあたりコンヴィチュニー演出のキモのように思える。
タチアーナが会場の2階席から登場する。オネーギンがオケピットの前面まで出てきて大きく動き回る。これもコンヴィチュニーらしいダイナミックさだ。
オペラの大筋は……
田舎でつつましく暮らす、タチアーナ、オルガの姉妹。都会から来たオネーギンに、タチアーナはたちまちのぼせてしまい、結婚したいとの手紙まで出してしまうが、オネーギンは冷たく断る。たかが小娘との思いが隠れていたようだ。親友のレンスキーと思いがけずも決闘となり、撃ち殺してしまう。オネーギンは放浪のはて、宮廷の舞踏会で、今は公爵夫人で社交界の花形となっているタチアーナに再会する。心を動かされたオネーギンは……。
タチアーナは可憐さがぴったり。第3幕の毅然さとの対比があったか。オネーギンの黒田博さん、ヴェテランですね。ちょっとオジン臭さを感じてしまった。
東響は徐々に調子を上げたようで、チャイコフスキー特有の粘っこいメロディーを聞かせる。緊張感の高まるシーンとかはイマイチ。
カーテンコールにはコンヴィチュニーも登場
【キャスト】
エフゲニー・オネーギン:黒田博
ウラジーミル・レンスキー:樋口達哉
タチアーナ:津山恵、オルガ:田村由貴絵
ラーリナ:与田朝子、乳母:村松桂子
グレーミン公爵:佐藤泰弘
管弦楽:東京交響楽団、合唱:二期会合唱団
指揮:アレクサンドル・アニシモフ
演出:ペーター・コンヴィチュニー
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