■ ブリテン:歌劇《ピーター・グライムズ》 (2012.10.8)
新国立劇場にブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》を観てきた。2012.10.8(月・祝)
このブリテンのオペラ、DVDを視聴したことはあるのだが、舞台に接するのは初めての経験であった。やはりひとつ一つの場面のフォローに追われてしまい、個人的にはイマイチ全体理解が行き届かなかったのは残念。
しかし、音楽と舞台演出が一体となった、緊張感の高い公演であったと思う。
舞台には常に大きな2枚の壁がある。これらが、場面に応じて動き、室内をあらわしたり大きな空間を暗示していた。第2幕の教会の場面など、入口が広くあるいは狭く閉じ込めるような動きをして群集心理とマッチして効果的ではなかったか。
衣装にしても、第1幕などはブリューゲルの絵画を思わせる土俗的な色彩だなと感じたのだが。第3幕では、それが真紅に変わる。そして幕切れは、暗黒になり印象的だ。
主演の、ピーター・グライムズを演じたスチュアート・スケルトンが熱演だ。いかにも木訥な漁師にみえるのだが、心理的な葛藤をかかえている様子。性格的な演技だったのでは新聞テレビでこのところ報じられている、母親の児童虐待のニュースと重なってしまった。
座席は4階席の2列目だったのだが、座布団が備えてあるのに気づいた。前後列をそれとなくチェックすると、どうも2列目だけのようである。視界改善策か? この4階席は、かねて座席配置に不満があったのだが――前列の人がわずかに前傾するだけで、後席の視界をかなり妨げるのである。
終演後のバックステージツアーの抽選に当たりラッキーであった。178人のうちの30人だからちょっとした確率かな。バッククステージの巨大さにびっくり。5階建てのビルが左右と後方にあるような感じだ。舞台に立つと、今回の《ピーター・グライムズ》公演では、ステージが客席に向けて傾いているのを実感する。9度の角度とのことであった。もちろん場面によってはこれ以上に傾くそうだ。→
こちら
<出演>
ピーター・グライムズ:スチュアート・スケルトン
エレン・オーフォード:スーザン・グリットン
バルストロード船長:ジョナサン・サマーズ
アーンティ:キャサリン・ウィン=ロジャース
演出:ウィリー・デッカー
衣装:ジョン・マクファーレン
指揮:リチャード・アームストロング
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
本公演はベルギー王立モネ劇場からのプロダクション・レンタル上演とのこと。
このモネ劇場の公演は大野和士が指揮してますね(公演情報→ こちら
[2004年 3月 2, 4, 5, 7, 9, 11, 12, 14, 16日]
演出:ウイリー・デッカー Willy Decker
衣裳:ジョン・マクファレン John Macfarlane
Peter Grimes : Richard Margison / Albert Bonnema (3/4,11&16)
Ellen Orford : Solveig Kringelborn / Helene Bernardy (3/4,11&16)
Captain Balstrode : Terje Stensvold
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