■ マックス・レーガーの世界 ――変奏曲とフーガ (2009.12.22)
FM放送を録音したMDを整理していたら、大野和士がスウェーデン放送交響楽団を指揮したものが出てきた。
モーツァルトの交響曲《パリ》、バルトークのヴィオラ協奏曲(独奏者:キム・カシュカシャン)、それにレーガーの《モーツァルトの主題による変奏曲》を演奏している。(ストックホルム・ベルワルドホール、2006.11.24)。
残念なことに、このエアチェックを見事に失敗している。録音時間の配分を誤ったため、コンサート最後の《モーツァルトの主題による変奏曲》の終曲が時間切れになってしまっているのだ。
マックス・レーガー (Max Reger、1873-1916)はドイツの作曲家。ミュンヘンで音楽教育を受ける。オルガニストとしても名を馳せた。
舞台音楽を除くすべての分野に多数の作品を残した。J.S.バッハの様式を再現するような擬古典的作品が多い。
わずか43歳で夭折。晩年は過度の暴飲暴食、喫煙にふけったようである。死因は脳卒中らしい。
カールスルーエ滞在中に、ライプツィヒ音楽院の教授に選任された縁で、当地には、マックスレーガー研究所が設立されている。
室内楽曲全集の録音がCDに復刻されているとのことだ。
<作品>
・ヴァイオリン協奏曲 イ長調 Op.101
・ピアノ協奏曲 ヘ短調 Op.114
・ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ Op.86
(2台のピアノのための作品。1915年に管弦楽に編曲)
・ヒラーの主題による変奏曲とフーガ Op.100
・ベックリンによる4つの音詩 Op.128
・モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ Op.132
◆《ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ》
このところ、マックス・レーガーの音楽に関心が向いている。
←オークションでオーケストラ作品集を落札した。
7枚組のCDで主要な管弦楽曲はほぼ網羅されているようである。
これから聞き込むのが楽しみ。(ドイツ・シャルプラッテン盤)
さっそく聞いたのが、《ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ》。もともとは2台のピアノのために作曲(1904年)したものを、
1915年(最晩年)に管弦楽に編曲したらしい。演奏はシュターツカペレで指揮は懐かしのスイトナーである。
ベートーヴェンの原曲は思い出せないが、やさしい伸びやかなテーマ。
第3変奏のアンダンテなど、テーマにそった慈しむような演奏ぶりである。
フィナーレは、レーガーお得意のフーガ。
シンプルな弦合奏から始まって、オケの厚みが徐々に増してくる楽器の音色が対比的に構成されている――対位法の故か
管楽器と弦の響きが多彩、かつリズミックに重なりあうのが魅力。
金管楽器が加わって壮大なフィナーレへと導かれる。
曲・演奏とも魅力的なCDである。録音も悪くない。
◆《モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ》
← このジャケットはベックリンの「波間のたわむれ」
レーガーの《モーツァルトの主題による変奏曲》が気になってずっと探していたのだが、たまたまCDショップで2枚組の輸入盤を手に入れた。
廉価版レーベルBrilliantからの発売。版権は英国Chandosとのこと。
収録曲は、
レーガー(1873-1916)の代表作として終曲にフーガのあるものを選んだようである。
1.ベックリンによる4つの音詩(Op.128)
ベックリンはスイスの画家、「死の島」が有名。第3章も「死の島」から触発されたもの
(1)ヴァイオリンを弾く隠者、 (2)波間のたわむれ、 (3)死の島、 (4)バッカナーレ
2.ヒラーの主題による変奏曲とフーガ (Op.100)
ネーメ・ヤルヴィ指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
3.詩篇 第100番(Op.106)
4.モーツアルトの主題による変奏とフーガ (Op.132)
ヴァレリー・ポリャンスキー指揮、ロシア国立交響楽団
いずれの曲・演奏ともに好ましいもので気に入った。
特に第1、4曲はさすがに晩年の作だけあって聴き応えがある。第1曲の《ベックリンによる4つの音詩》は
静謐な雰囲気が特徴。Vnの響きが美しい。バッカナーレにしても抑制された気分がある。
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