■ ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 青いサカナ団の熱演
(2005.6.19)
「国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団」の主催する、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》の公演に行ってきた。なかのZERO (もみじ山文化センター) は、JR中野駅 南口からちょっと歩く。大ホールは1,292席。入りはあまりよくありませんでした、2階席は50%ほどだったでしょうか。
2005.6.18 (土)
なかのZERO大ホール
指揮:神田慶一
演出:粟國淳、美術:ベニート・レオノーリ
トリスタン;田代誠、イゾルデ;飯田みち代
マルケ;斉木健詞、ブランゲーネ;小畑朱実
青いサカナ管弦楽団、青いサカナ合唱団
「青いサカナ団」とは1989年に結成された、国立音楽大学の学生・卒業生を中心とする新しい世代を代表するオペラ団体とのこと。堅苦しいイメージをぬぐい去るために、あえて「青いサカナ団」というインパクトのあるネーミングだそうだ。ピカソの「青の時代」にも通じるらしい。もう創立15周年にもなるわけだ。団の主宰者 神田慶一は、国立音楽大学楽理科を卒業し渡欧して指揮者としての研鑽を積んだとのこと。
「青いサカナ団」のオペラ公演は 初めて経験。《トリスタンとイゾルデ》を演るとのことで、観るほうも おっかなびっくり。途中退場もありかな、とは思っていたのだが、意外なほどの健闘ぶりにびっくり。これほどのレベルの高さとは思わなかった。歌い手、オケ、指揮者ともども熱い共感が伝わって来ました。
本来であれば5時間ほどの大作を、パンフレットによれば、ワーグナー自身の初演時のカットを踏まえ、全3幕をそれぞれ1時間程度に整え、オーケストラの編成を50人規模の2管編成とし、ほぼ3時間に集約したとのこと。私には どこをカットしたのか 分かりませんでした。集約的な演奏ではなかったでしょうか。
イゾルデの飯田みち代さん。幕切れの「愛と死」まで 緊張感が維持されて感動的でした。コスチュームのわずかな変化も、イゾルデの心情を映して素敵でした。ブランゲーネの小畑朱実さんもよかったです。それとマルケ王の斉木健詞さん、とても声量のあるバスでしたね。
オケは指揮者の指示に一生懸命、応えている風の演奏でしたが、そのためにか思いもかけず効果的に舞台をバックアップしていました。第2幕、舞台上では熱烈な愛の二重唱が 続くのですが、木管群の響きがしみ通りました。もちろんワーグナー独特のオケの分厚い響きを満喫することにも、こまかい注文はあるにしても、不足はありませんでした。
今日のヒロイン飯田みち代さんがパンフレットに紹介されていましたが、ユニークな経歴にちょっとびっくり。これからの活動に注目したいと思いました。
愛知県名古屋市生まれ。2歳のとき筋無力症を患ったが奇跡的に回復。京都大学教育学部で教育心理学、臨床心理学を学んだとのこと。卒業後、企業に就職したものの、オペラを通じて世の中に夢や希望を与えたいとの思いから退職しオペラの道へ入ったとのこと。最近の活動としては、2003年《ルル》、2004年《エレクトラ》、2005年《魔笛》で夜の女王役。
◆「青いサカナ団」のホームページは → こちら
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