■ 飯守泰次郎指揮 東京シティ・フィル 《トリスタンとイゾルデ》 (2008.9.23)
東京シティ・フィル オーケストラル・オペラZ 《トリスタンとイゾルデ》
に、行ってきた。
ティアラこうとう(江東公会堂)大ホール 2008.9.23(火) 秋分の日。2日間公演の2日目
オーケストラル・オペラとは、簡素な演出があるものの、要するに演奏会形式のこと。オケは舞台の上で演奏するが、さらに一段と高い階段状の舞台が作られていて、歌手はその上で演技をする。背景にはプロジェクターで静止画が投影されるスタイル。
個人的にも国内の演奏会で、これ以上の《トリスタン》を体験したことはない。
トリスタン・イゾルデ2人の純粋な愛を中心テーマとしたオーソドックスな指揮/演出とも相まって、すばらしい演奏会であった。
飯守泰次郎の演奏はメリハリよく、緊張感あふれるもので、なによりオケが雄弁である。
前奏曲からズンズン引き込まれてしまった。会場の「ティアラこうとう」がそれほど大きなホール(1300人規模)でないのも幸いしたかな。舞台との距離感もなく――2階席の後方であったが――オケと歌手のバランスが崩れない。残響も少なめであり、響きがくっきりする。第1幕の舵手の声、水夫の合唱など、前面の歌手との遠近感が実に適切に浮かび上がる。
第3幕のイゾルデの船の到着を知らせるあたりもそうだ。
ここでは、舞台裏で、ホルツ・トランペットとやらが使われたようだ。
プログラムの解説によれば、この楽器はワーグナーがトリスタンのために音色をイメージしたとのこと。木製のトランペット。
歌手もそれぞれ頑張った。なかでもマルケ王(小鉄和広)は声量もたっぷりで一番の存在感があったのではないか。緑川まりは、先日の大野和士・都響のコンサートでは体調不良とのことで佐々木典子に代わったが、本公演に備えてのことだったのか。
舞台背景へのイメージ投射、どれもピンと来ない印象。やらずもがなではなかったか。
それと日本語字幕がいつもと違った様子。例えば第3幕では、しきりに"女医"とか頻出したのだが、違和感があった。
トリスタン:成田勝美
マルケ王:小鉄和広
イゾルデ:緑川まり
クルヴェナール:島村武男
メロート:青蜻f晴
ブランゲーネ:福原寿美枝 ※
羊飼い:近藤政伸
舵手:須藤慎吾
若い水夫の声:村上公太
構成小栗哲家
合唱:東京オペラシンガーズ
管弦楽:東京シティ・フィル
指揮:飯守泰次郎
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