■ 《ワルシャワの生き残り》 都響と若杉弘 (2005.5.2)


都響の定期演奏会に行ってきた(2005.4.27 東京文化会館)。
 2005年度楽季<前期>定期演奏会 Aシリーズ 第607回

  ブラームス:大学祝典序曲 op.80(男声合唱付)
  シェーンベルク:ワルシャワの生き残り op.46
  ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 op.25(オーケストラ編曲版)

  指揮:若杉弘
  語り:勝部太
  男声合唱:晋友会合唱団


プログラムはまことに凝ったもの。DNAの二重らせんのごとく、いま表にいた思われた主役が、いつのまにか裏方に回っているという感じだ。「プランニングをするのが楽しいし、プログラムを提出した時から演奏が始まっていると思うのです」と、若杉弘は語っているようだ。ブラームスから始まって、シェーンベルクへ、そしてブラームスで終わるのだが、この終曲がシェーンベルクの編曲とは!音楽的緊張感にしても、祝典的な序曲から始まり、《ワルシャワの生き残り》でピークに達する。そして終幕をゆったりと迎えるのだ。

第1曲の《大学祝典序曲》。オケにはもっとリラックスして演奏して欲しかったと思うのだが。男声合唱が入ると祝典的な雰囲気を醸す。これは初めての体験だ。

ワルシャワの生き残り》は12音技法とのこと。小編成のオケから鋭い響きが聴けた。都響もアンサンブルの弱みが出ない。コントラバスも歯切れ良く頑張る。実に緊張感がある。終結、緊張を破るように男声合唱が立ち上がって歌う。

イスラエルよ聞け
われらの神 主は唯一の主である
……
わずか8分弱だが、感動的な作品だ。本来、重いテーマをもったものだが、当夜は音楽的にしか聞くことはできなかった。
語り手の男声、やや英語の発音が不明瞭に聞こえたのが残念。PAを使っていたと思うのだが、そのせいか?

第3曲のブラームス (シェーンベルク編)《ピアノ四重奏曲第1番》。第1楽章は、同じテーマがくり返される。チャイコフスキーではないかと。第3楽章は歌謡的。終楽章は、木琴も活躍、打楽器ものびのびと、まさにハンガリー舞曲を思わせる。シェーンベルクの編曲もリラックス感が充分にあるものだ。


◆ 立花隆の 《ワルシャワの生き残り》 体験 → こちら


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