■ 茅ヶ崎で《第九》を聞く (2001.12.16)
茅ヶ崎市民文化会館にて《第九》を聞いた。アマチュアの交響楽団・合唱団による真摯な演奏からはベートーヴェンのヒューマニズムが力強く伝わって来たのでした。奇しくも昨日(12月16日)は、通説によるベートーヴェンの命日(1770年)と重なるとのことだった。
演奏は、管弦楽 茅ヶ崎交響楽団、合唱 ちがさき第九を歌う会、指揮
鈴木織衛。独唱陣はプロで、ソプラノ 酒井悦子、アルト 栗林朋子、テノール
井上幸一、バス 大澤建であった。プログラムには、ベーレンライター新校訂原典版による演奏、とあったが、私にはいつもの第九との違いはわかりませんでした。
鈴木織衛の指揮は実にわかりやすい、てらいのないものであった。アマチュアを相手にかんでふくめるような指揮ぶり。身振りを大きく、テンポをはっきりとわかりやすく振り分けていた。楽器への指示も実に明確である。その中からベートーヴェンの作曲の意図が自然に浮かび上がって来た。第1楽章
巨大な交響曲の予感、第2楽章 荒々しい挑戦的な響き、第3楽章 対照的な慰めの音楽。第4楽章 チェロで「歓喜の歌」の調べが静かにピアニシモから始まったとき、感動が伝わってきた。
合唱は総勢196人(女性147、男性49)。練習の成果が現れた演奏でした。時にフォルテで生の声が出てしまうとか、ドイツ語の発音が明瞭でないとか、ありましたが。オーケストラはやはり弦楽器が中心。緊張がずっと維持されました。金管は弱音がやはり難しそう。ティンパニは女性であったが、第2楽章はよく頑張りました。バスにいまいちの迫力が欲しいのは、アマチュア楽団の共通課題か。
◆鈴木織衛(すずき・おりえ) 東京芸術大学 大学院修了。東京フィル・オペラコンチェルタンテシリーズにおいてチーフスタッフとして全ての公演に参加し、副指揮、合唱指揮を兼任。◆ソプラノ
酒井悦子(さかい・えつこ) 東京芸術大学声楽科卒業。イタリア、ミラノへ留学。◆アルト 栗林朋子(くりばやし・ともこ) 東京芸術大学
大学院独唱科修了。第3回日本声楽コンクール第1位入賞。◆テノール 井上幸一(いのうえ・こういち) 法政大学経済学部経済学科で学んだ後、東京芸術大学音楽学部声楽科に進み、同大学院修士課程修了。英語、ロシア語のレパートリーを得意とする。◆バス
大澤建(おおさわ・けん) 日本大学芸術学部音楽科にてホルンと声楽を専攻後、二期会オペラスタジオ修了。2000年、東京フィル・オペラコンチェルタンテ「はるかなる響き」「オテロ」等に出演。
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