■ 《魔弾の射手》 チョン・ミョンフン指揮 (2001.8.23)
オペラコンチェルタンテ・シリーズ第22回 《魔弾の射手》 を聞いた。席はある人のご好意によって1階中央のS席ベストポジション。オーチャードホールは満員の盛況。開演前から客席には期待感が充満している。これでは否応なくテンションの高い演奏にならざるを得ないなと思う。
音楽的に立派な演奏であった。オーケストラも十分鳴っていました。ホルンが頑張りました。チョン・ミョンフンの指揮は緊張感に溢れた集中力のあるものだったと思う。それぞれのパートをきっちりと振り分け、この《魔弾の射手》がワーグナーの楽劇の先駆け的役割を果たしていることが良く分かる演奏でした。
声楽陣では、特に女性2人が気に入りました。アガーテを歌ったソプラノのマリア・シュニッツァーさん。大柄な体に似合わず、繊細で魅力的な歌い振りでした。清潔な声がアガーテにピッタリ。またエンヒェンの高橋薫子さんも、声量も十分、演技もメリハリがあって素晴らしかったと思います。泉良平さんは、つい先日、神奈川県立音楽堂で聞いたばかりですが、領主役で声に存在感がありましたね。
例によって舞台奥に並ぶ合唱はオーチャードホールと音響的に相性が悪いと思う。特に男声のフォルテでは音がつぶれてしまいます。言うまでもなく、この歌劇では「合唱」がもう一人の主役なのでちょっと残念。人数を少なくして位置を離して歌うのもひとつの改善策かなとも。
いつもながら、このコンチェルタンテ・シリーズ、これだけの演奏がたった1回しか上演されないのは残念、そしてもったいないなと感じる。
……ただ、今日現在、《魔弾の射手》を上演してチョン・ミョンフンは、どんなメッセージを伝えたかったのか私には理解できませんでした。
◆オペラコンチェルタンテ・シリーズ 第22回
2001年8月23日(木)Bunkamuraオーチャードホール
ウェーバー:歌劇 《魔弾の射手》 全3幕 字幕付原語上演
指揮:チョン・ミョンフン 東京フィルハーモニー交響楽団
マックス(T):ペーター・ザイフェルト
カスパール(B):アルベルト・ドーメン、
アガーテ(S) :マリア・シュニッツァー
領主 オットカール(Br):泉 良平
アガーテの友人 エンヒェン(S):高橋薫子
森林保護官 クーノ(アガーテの父)(B):大澤建
隠者(B):新保堯司
キリアン(Br):秋山徹
悪魔ザミエル(B):斉木健詞
合唱:東京オペラシンガーズ