■ R・シュトラウス 《ナクソス島のアリアドネ》 (2003.01.13)
新国立劇場のR・シュトラウス 《ナクソス島のアリアドネ》に行ってきた (2002.12.13)。本日は日本人キャストの方。お目当てはツェルビネッタを演じる幸田浩子さん。
音楽教師 黒田博
作曲家 白土理香
テノール歌手/バッカス 成田勝美
ツェルビネッタ 幸田浩子
プリマドンナ/アリアドネ 岩永圭子
ナヤーデ(水の精) 若槻量子、ドリアーデ(木の精) 井坂恵、エコー(山びこ) 田島茂代
指揮 児玉宏 管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
プロローグの付いた1幕のオペラ。舞台は18世紀のウィーンの富豪の邸宅。構成は凝っていて、プロローグは音楽教師と作曲家が、オペラが上演されるまでのドタバタを演じる楽屋落ち。作曲家のモデルはモーツァルトだという。続いてオペラが劇中劇として演じられる。ひとつはアリアドネとバッカスによる、ギリシア神話によるオペラ・セリエ。それに、踊り子のツェルビネッタが活躍する喜劇が同時に進行する。
1916年10月ウィーンでシャルクの指揮によって初演された。この年、第一次世界大戦の真っ最中、オーストリアでは首相シュトルクが10月にピストルで狙撃され、11月には86歳の老帝フランツ・ヨーゼフ1世が亡くなるという混乱の時代。
R・シュトラウスの音楽は、オーケストラを36人にしぼった緊密なアンサンブルが主体。クルト・ワイルを思わせる響きを感じることもあるのだが。ツェルビネッタの歌う「偉大なる王女様」は15分にもなろうかという長大なアリア。死を望むアリアドネに対して、女心は移ろいやすいものだと説く。後半はコロラトゥーラの超絶技巧を駆使する。
幸田浩子さんは頑張りました。あの長大なアリアを見事に歌い切りました。ただ初日のせいでしょうか、ちょっと動きが固かったように感じました。演技にも何かいまいち吹っ切れていない様子がありました。GIACOMOさんの感想は 「髪型に問題があるような気がします」とのこと。なるほどそうか!と合点した次第。
3人の妖精が何回も歌う、シューベルトの子守歌(眠れ眠れ母の胸に……)を思い出させるメロディー、印象的でした。最後はバッカスとアリアドネの二重唱。トリスタンを思わせます。東フィルはちょっと残念でした。一本調子というか、もの足りませんでした。
レヴァインが指揮する弾むようなウィーン・フィルの響きが何といっても魅力的。もちろん木管も味があります。キャスリーン・バトルの繊細なツェルビネッタも良いですね。ふるえるような今にも壊れそうな微妙な声質が格別なのは言わずもがな。